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しっかり傷ついてこそ、生きていくことができる

しっかり傷ついてこそ、生きていくことができる

Posted December. 17, 2021 08:27,   

Updated December. 17, 2021 08:27

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妻の浮気を目撃した家福悠介(西島秀俊)は、理由を聞くことができないまま、突然妻の死を迎える。2年後、広島の演劇祭に招待され、作品を演出することになった家福は、そこで自分の専属ドライバー、みさき(三浦透子)に出会う。映画「ドライブ・マイ・カー」は、2人が徐々に関係を築き、傷で封印された心が回復する過程を描く。映画は、今年カンヌ国際映画祭で4冠に輝き、来年のゴールデン・グローブ賞の非英語映画賞にノミネートされた。

23日の国内上映に先立ち、濱口竜介監督(43)に16日、リモートで会った。「ハッピーアワー」(2015年)、「寝ても覚めても」(18年)、「スパイの妻」(20年)で名を馳せた濱口氏は、今回の映画で世界が注目する日本の若手監督となった。濱口氏は、「賞と共に良い評価を受け、苦労した方々に報いることができた」と話した。今回の作品では、パク・ユリムなど韓国の俳優やスタッフと協力した。濱口氏は、「11年前に韓国映画アカデミーと『THE DEPTH』を共同制作した。最も近い国である韓国で日本と違う点があるということが多くの刺激になったが、また一緒に仕事ができてうれしかった」と話した。

 

映画は14年に公開された村上春樹(72)の小説集『女のいない男たち』に収録された同名の短編を映画化したもの。プロデューサーは当初、村上春樹の別の短編を映画化しようと提案したが、監督は「『ドライブ・マイ・カー』なら作ることができる」と言った。濱口氏は、「小説が人物の内面を描くなら、映画は動きが重要だ。「ドライブ・マイ・カー」には自動車が登場し、車の動きが人物の行動にも影響を与えることができると思って選択した」と話した。

家福は「僕は、しっかり傷つくべきだった」と言って苦しみに向き合う。これは、村上春樹の同じ小説集の短編『木野』の「おれは傷つくべきときに十分に傷つかなかったんだ」という台詞を脚色したもの。監督は「家福は自分だけでなく夫婦関係でも自己を過大評価した。思ったより強くない自己を直視する過程で、他者の大切さを知った。それを悟ってこそ他者との関係を始めることができるのではないかと考えた」と話した。

運転する場面では沈黙が、演劇を練習する場面では日本語、韓国語、英語、手話など多様な言語が出てくる。同じ言語を使わなくても、話をしなくても、伝わる話があることを示す。

「ただ生きていくしかない」。映画のクライマックス、家福に手話で伝えるこの台詞は私たちにも「一緒に生きていく人生」の意味を伝える。


キム・テオン記者 beborn@donga.com