外交の目的は同盟だ。韓国は千年の間、同盟国を自ら選択したことがない。これが今でも韓国の歴史に外交と言えるものがない理由だ。
三国時代、羅唐連合や百倭連合というものがあったが、その後は主に中国との朝貢関係が続いた。中国も、戦国時代に合従連衡のような熾烈な外交があったが、秦の始皇帝の天下統一後、変わった。中国と周辺国は長い間、外交を知らなかった。中国が西洋と接触してアヘン戦争を迎えたのは、外交を忘れて朝貢だけしていたためだ。
日本だけ中華の世界から離れ、藩に分かれて自分たちで争い、同盟の意味をぼんやりと知っていた。その日本も、開国後、列強に加わる過程で、ロシアが主導する三国干渉を受けた後、日英同盟を結び、日露戦争でロシアに報復し、同盟の重要性を知った。
朝鮮は開国後、日本の植民地に転落し、同盟を経験する機会を持つことができなかった。また、光復(解放)と同時に韓半島の北はソ連、南は米国との同盟の枠組みに事実上、強制的に編入させられた。中国の浮上と共に、千年ぶりに初めて韓国に同盟の選択肢が与えられた。
日本は、韓国とは違って、同盟の経験が豊富だ。安倍晋三首相の訪米を日米の「新蜜月関係」と見るのは、核心ではない。新蜜月関係は、1980年代の中曽根康弘・レーガンと、20年後の小泉純一郎・ブッシュの関係にも当てはまる表現だ。安倍首相がしたことは、日米同盟の性格を変える質的な変化だ。
安倍首相の究極の目標は、日本、米国、オーストラリアの同盟にインドを含める「民主的ダイヤモンド同盟(democratic security diamond)」だ。米ハワイから始まり、結ぶことでダイヤモンドが描かれる4国が、民主主義を共同の価値として中国に対抗するという構想だ。中国は、大国であり、今後もっと大きくなるが、周辺国が包囲すれば、日本が戦える相手だ。全世界の管理が手に余る米国としても望むところだ。
「民主的ダイヤモンド同盟」構想に韓国は入っていない。日本の考えは、韓国が入ってくれればいいが、入ってこなくても構わないということだと思っていたが、そうでもなかった。最近になって、日本は韓国との価値共有に疑問を提起し、中国に接近する韓国が入ってくれば、かえってやっかいな障害物になりかねないという認識を持ち始めた。
韓国は米国との同盟国の優先順位で日本に押されていることが再確認された。このような厳しい現実は空しいが、だからといって中国との同盟に傾くこともできない。中国は反中国勢力に比べれば、大差で劣勢だ。韓国は、どちから一方に傾くと優勢を劣勢に、劣勢を優勢に変えることができるバランサーでもない。
トゥキディデスの「ペロポンネソス戦争史」を読むと、ギリシャの都市国家の生存のための同盟は涙ぐましい。同盟を選択しなければならない状況は、争う両者からラブコールを受ける幸せな状況ではない。真の外交をしたことがないため、そのようなうわごとを言うのだろう。同盟は勝つ同盟でなければならず、勝つ同盟を結ぶためには、時に卑屈さも甘受しなければならない。少なくとも仲間はずれになることだけは避けなければならない。韓国の外交はどこに流れているのだろうか。
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