ドイツのナチ指導者のアドルフ・ヒトラーは「誇大妄想証の患者」だった。ヒトラーは全世界を屈服させ「世界の総統」になろうとし、それに備え「世界の首都」建設を推進した。いわゆる「ゲルマニア(ゲルマン人の首都という意味)建設計画」だった。幅120mに長さ7kmの中央路、ローマの聖ピエトロ聖堂より16倍も大きく、20万人を収容できる国民大会堂を造るなど、ベルリンを大々的に改造しようとした。しかし敗戦によってこの計画は水泡に帰し、ヒトラー本人は自殺した。
◆ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4日、マスコミとの会見で「マハトマ・ガンジー以後、世界中に私ほど純粋な民主主義者はいなかった」と述べた。錯覚は自由とはいえ、ひどい誇大妄想だ。プーチンが巧みで強力な手法で権力とマスコミを掌握したことは世界がすべて知っていることだ。民選で選出された州知事を中央政府で任命し、上院も間接選挙制に変え、大統領の影響下に置いた。国営各企業を動員し持ち分を確保する方式で、マスコミを手中に入れ報道人を無慈悲に弾圧した。
◆集権10年目となるベネズエラのウゴ・チャベス大統領は今年、三度目の就任のあいさつで「キリストは最も偉大な社会主義者」と述べた。石油企業を国有化してつくった財源で、左派のポピュリズム政策を打ち出しながら、これを合理化するためにキリストと本人をオーバーラップさせる手法を使ったのだ。チャベスはニューヨークの貧民たちに卸値より40%安い暖房用の燃料を提供したりした。それにしてもキリストとは!マスコミを統制しようとベネズエラ最大の民営放送であるRCテレビを強制的に閉鎖したにもかかわらず、「表現の自由は満開だ」と誇張した人だ。
◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は2日、参加型政府評価フォーラムの講演で「私は課長級の大統領である時もあるが、同時に世界的な大統領だと思う」と述べた。盧大統領は記者室の統廃合と記者に対する公務員接触制限を「取材支援の先進化案」と呼び、これを批判する野党を「マスコミに屈服した」と非難した。韓国の国内総生産は世界12位前後だ。盧大統領の国政生産性の世界で占めるランキングはどうだろうか。
李進寧(イ・チンニョン)論説委員 jinnyong@donga.com