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フィギュア世界選手権初メダルの金妍兒 「芸術」で新紀元

フィギュア世界選手権初メダルの金妍兒 「芸術」で新紀元

Posted March. 26, 2007 07:13,   

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金妍兒(キム・ヨンア)のショートプログラムの演技は実に素晴らしかった。映画ムーラン・ルージュ挿入曲の「エル・タンゴ・ド・ロクサーヌ」の情熱的なリズムに合わせて「スペインの踊り子」が完璧に再現されていた。

滑っている氷が解けないのが不思議なほど、熱い演技だった。テクニック的には完璧だったが、芸術的にはそれ以上だった。観衆も驚き、世界も驚いた。ロサンゼルスタイムズのフィリップ・ハッシー記者は、「2分40秒あまりの短い時間だったが、100年の伝統を持つ女子フィギュアの歴史に、新境地を開いた」と評した。

金妍兒本人も「驚いた」と話した。金妍兒は「時々、演技の途中に半分ぐらい狂ったような状態になる経験したりするが、今回のショートプログラムは終始そのような状態だった」と話した。

どれほど演技に没頭していたのか、当時体育館が揺れるほど拍手を送った観衆の反応もまったく知らなかったという。言葉どおりの無我之境(精神が1ヵ所に集中されて自らを忘れる境地)だった。

専門家たちは、金妍兒を「テクニシャン」としてよりは「アーチスト」だと評価する。金妍兒自身も「フィギュアスケートは、芸術により近い」と語った。金妍兒の芸術性は半分は生まれつきで、半分は作られたものだ。

前のコーチだった金セヨル氏が、固いばかりだった金妍兒の中から、芸術家としての素質を引き出した。世界的な振付師のカナダのデービド・ウィルソン氏はこれを増幅させる役割をしてくれた。

しかし、芸術も体力が裏づけされてこそ可能なものだ。今シーズンは、ずっと負傷に苦しめられた金妍兒に4分が越えるフリースケートの演技でショートプログラムの完成度を期待するのは、やや無理だと思われていた。

「夏じゅう、体力をつけなければならなかったのですが、負傷のためそれもできなかったです。こちらを治療したらまたあちらが悪くなり、またあちらを治療したらこちらが怪我してと…。大会直前、カナダで体力訓練に一番本腰を入れたのですが、東京へ出発する2日前に尾骨が急に痛み出して歩くこともできなかったし、座ることもできないかった。体力も落ちっぱなしで本当に大変でした」

フリースケートの演技前にウォーミングアップする時から体が重く感じられた不安だったという金妍兒は、ジャンプの演技で2回も転倒して、これだけで10点以上カットされた。最終点数は186.14点。ミスさえしていなければ、安藤美姫(195.09点)と浅田真央(194.45点)にも勝てる点数だった。

金妍兒は最終結果について、「むしろ良かったかもしれない」と話した。「シニアの初シーズンから首位に立つと、その後は首位を守ることにのみ汲々となるでしょうね。(首位に上がれる)機会はまだまだ多いですし、今は挑戦者の立場がさらに良いと思います」。

ちょっと腑に落ちなかった。金妍兒は、「完璧主義者」に知られている。彼女を指導するブライアン・オーサー・コーチは、「練習の時、『もう休もう』と言っても止めないで、練習を休まないほど練習の虫だ。これで満足する、ということを知らない」と話したことがある。

金妍兒はこの言葉に頷きながらもこのように付け加えた。「私か追い求めるフィギュアは、人との競争で勝つのではなくて、自分との戦いで勝つことです。私が満足できる水準に到達すること、今はそれが一番重要です」。金妍兒は27日から今大会のメダリストたちと一緒に日本の名古屋、大阪、札幌で巡回演技を披露した後、4月1日に帰国する。



kimsk@donga.com