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オンラインで生中継された殺人現場、理性を失ったユーチューバー文化

オンラインで生中継された殺人現場、理性を失ったユーチューバー文化

Posted May. 11, 2024 08:43,   

Updated May. 11, 2024 08:43

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ユーチューブがついに恐ろしい殺人のシーンまで生中継した。一昨日の真昼、釜山(プサン)の裁判所の前であるユーチューバーが振り回した凶器に刺され、50代のユーチューバーが死亡する事件が起きた。これに先立って、犯人と被害者はオンラインの放送で互い批判を交わし、暴行と数十件の訴訟戦の末に刃物沙汰が起きたのだ。事件当時、被害者は「ファンの方々は110番への通報準備」という題名でライブ放送中であり、殺人現場の悲鳴と被害者が流した血がユーチューブでそのまま中継された。犯人は、検挙直後も自分のユーチューブチャンネルに「最後の挨拶を申し上げる」という文を掲載した。

ユーチューブやアフリカTV(AfreecaTV)など、インターネット放送の不良コンテンツは、今始まった問題ではないが、最近ははるかにその度を越している。かつては扇情的放送などが主に問題になったが、最近はオンライン上での争いの当事者たちが実際に会って戦う「ヒョンピ」、競争的に酒を飲む「カンパリ放送」等での同席者の引き回し、人身攻撃性合同放送、暴行と暴言が飛び交う「ヘルパーティー」等が出てきたが、ついでに自殺シーンが生中継されることまで相次いだ。そうするうちに、殺人の惨劇までリアルタイムで放送されたのだ。

理性を失ったまま、刺激的な内容で収益だけを追う異様なユーチューバー文化が、今後どのような状況に至るか見当すらつかない。しかし、このような放送に対する規制は、事実上ユーチューブなどプラットフォーム事業者の独自のガイドラインに頼っているのが現状だ。事業者は政策に反する映像を削除するというが、新しく掲載される映像の方が多い。ライブ放送は、放送通信審議委員会の審議対象にもならない。

子供と青少年を含め不特定多数が制限なしにアクセスできるインターネット放送で、激しい悪口と暴力、犯罪が横行することをこのまま放置してはならない。まずはプラットフォーム事業者の責任を強化しなければならない。ドイツは、侮辱や悪意的誹謗、暴力物の発信など刑法上22件の犯罪を不法コンテンツと明示し、これを削除しなければソーシャルネットワーク事業者に対し重い罰金を課す「ネットワーク執行法」で効果を得ている。欧州連合(EU)が昨年導入したデジタルサービス法(DSA)も、その柱は同じだ。表現の自由を侵害しないレベルで、サービス提供者の責任を強化する方向で情報通信網法などを見直す必要がある。利用者に対するメディアリテラシーの教育も並行されなければならないだろう。