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「砂の城」堤防と浸水警告への無視が生んだ最悪の地下車道惨事

「砂の城」堤防と浸水警告への無視が生んだ最悪の地下車道惨事

Posted July. 17, 2023 08:34,   

Updated July. 17, 2023 08:34

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中南部地方を襲った記録的な豪雨で土砂崩れや河川の氾濫が相次ぎ、大規模な人的被害が発生した。土砂崩れの被害が大きかった慶尚北道(キョンサンプクト)だけで17人が死亡した。忠清北道清州市興徳区五松邑宮坪(チュンチョンプクト・チョンジュシ・フンドクク・オソンウプ)の宮坪(クンピョン)2地下車道は、近くの美湖江(ミホガン)の氾濫で浸水して10台余りの車両が孤立し、集団惨事に見舞われた。今回の集中豪雨の予報に政府は「過剰なほどの先制対応」を誓ったが、今回も大規模な人命と財産被害を防ぐことができなかった。

特に、15日午前発生した史上最悪の宮坪2地下車道の惨事は、地下空間が水害にいかに脆弱な場所であるかを物語る。地下車道から近い美湖江の堤防が決壊し、川の水が滝のように流れ込み、長さ430メートルの地下車道トンネルが天井まで浸水するのに5分もかからなかった。義理の弟を車で送っていた男性や朝の掃除の仕事に向かっていた70代のおばあさんを含め、9人が逃げることができず死亡した。

さらに残念なことは、惨事を防ぐ機会を何度も逃したことだ。地下車道が浸水する2時間10分前に河川の水位が深刻なレベルに達すると、錦江(クムガン)洪水統制所は、清州市興徳区庁に「住民統制措置を出してほしい」と知らせた。浸水40分前には、近くの美湖江橋拡張工事の監理会社の団長が、「浸水の恐れがあるので、車両を規制してほしい」と警察に通報した。もともとこの地下車道は周辺の田畑より地盤が低く、浸水の可能性が高い場所だ。関係機関の相次ぐ要請にもかかわらず、交通規制が間に合わなかった理由は何か。

今回の惨事の直接的な原因は、仮設堤防の決壊だ。堤防を「粗雑に砂を積み上げ、防水シートで覆った」というのが住民の証言だ。雨水自動遮断施設はなく、排水ポンプも作動しなかった。2020年に3人が死亡した釜山草梁(プサン・チョリャン)地下車道浸水事故の時と変わらない。当時、政府は再発防止対策として自動遮断施設の構築を発表したが、宮坪地下車道は今年9月に設置される予定だったという。浸水懸念地域であるにもかかわらず設置が遅れた理由は何か。全国の浸水懸念地下車道144ヵ所は安全なのか。

短時間に降り注いだ豪雨とはいえ、土砂崩れの人的被害もこれほど大きくなるものだったのか、残念でならない。土砂崩れで7人が死亡した慶尚北道醴泉郡(イェチョングン)の場合、一部の地域は郡が指定した土砂崩れ脆弱地域から外れていたという。異常気象現象が頻繁に起こるようになったため、以前の対応策だけでは被害を防ぐことは難しい。気象庁は18日まで、被害を受けた中南部地域に最大300ミリ以上の非常に激しい雨が降ると予報した。気象庁と関係機関は気象情報を共有し、河川や道路の統制、住民の避難が適切に行われるよう気を引き締めなければならない。