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龍山上空の無人機は見ているだけ、鳥の群れには緊急発進

龍山上空の無人機は見ているだけ、鳥の群れには緊急発進

Posted December. 28, 2022 09:08,   

Updated December. 28, 2022 09:08

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26日、韓国領空を侵犯した北朝鮮の無人機5機のうち1機が龍山(ヨンサン)大統領室を撮影した可能性があることが分かった。防空システムを破って首都圏の上空を飛行しただけでなく、首都ソウルの心臓部である龍山近くまで接近し、情報収集を図ったのだ。しかし、軍は肉眼でも識別できる無人機の撃墜に失敗しただけでなく、鳥の群を無人機と誤認するなど相次いで対応の欠陥を露呈した。

北朝鮮の無人機が防空システムを破って主要施設を偵察しようとしたこと自体問題だが、テロや局地挑発に活用され得るという点でさらに脅威的だ。ソウルの中心に侵入した無人機に高性能爆発物や生物化学兵器が搭載されていた場合、惨事につながる可能性もある。北朝鮮が運用する無人機は、最大1000機と推算される。これを活用して今後どのようなテロに出るか分からない。

北朝鮮が、9・19軍事合意を違反し、無人機5機を一度に南下させたのは、混乱を引き起こし、韓半島の緊張を高め、韓国軍の対応を見ようという意図的挑発だ。北朝鮮は今年約30回、60発の弾道ミサイルを発射して武力示威を続けたが、対価を得られず、焦りが極致に達している状況だ。来年、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の新年の辞を皮切りに一層強力な連鎖挑発に乗り出すだろう。正恩氏は、「さらに激しく、確信性ある闘争方針を立てる」と、韓国に対する「強対強」戦略を継続することを予告している。

軍の対応は、懸念を越えて惨憺たる水準だ。空軍は、アパッチ、コブラなど攻撃ヘリをはじめとする軍用機20機を動員して100発を発射したが、無人機を撃墜できなかった。作戦に乗り出したKA1軽攻撃機が墜落する事態まで起きた。仁川市席毛島(インチョンシ・ソクモド)付近の鳥の群れを無人機と誤認し、住民に災害メールを発送したりもした。島嶼最前方地域で北朝鮮の無人機活動が急増したことを受け、金承謙(キム・スンギョム)合同参謀本部議長が徹底した備えを指示したのが10日前だ。北朝鮮側の動きをはっきり見ながら対応に失敗したのではないのか。

大統領府を偵察しようとした北朝鮮の無人機が摘発されたのが2014年だ。その後8年間、軍がどのような態勢を整えてきたのか問わなければならない。高度化、精巧化する無人機に対応するには、開発初期段階にある韓国型ジャマー(電波妨害装置)をはじめ装備の強化が急務だ。小型無人機の検知、攻撃兵器をはじめとする対応策の抜け穴が露呈したため、軍はこれを再点検し、防空システムの穴から埋めなければならない。北朝鮮の無人機の侵犯はもとより、ICBM発射、局地挑発などに対応する韓米合同防衛態勢も堅固にする必要がある。