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2段目の推進体点火に異常、約10分後に西海に墜落… 北朝鮮偵察衛星「技術的欠陥の可能性」

2段目の推進体点火に異常、約10分後に西海に墜落… 北朝鮮偵察衛星「技術的欠陥の可能性」

Posted June. 01, 2023 08:33,   

Updated June. 01, 2023 08:33

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北朝鮮が31日、平安北道鉄山郡東倉里(ピョンアンプクト・チョルサングン・トンチャンリ)の西海(ソへ)衛星発射場で発射した「宇宙発射体」を装った長距離弾道ミサイルは、全羅北道群山市(チョンラプクト・グンサンシ)の於青島(オチョンド)の西方約200キロの海上に墜落した。発射地点から直線距離で約400キロ離れた西海上の韓中暫定措置水域だ。北朝鮮が日本の海上保安庁と国際海事機関(IMO)に通報した1段目の推進体の落下予想区域(忠清南道大川港の南西最大300キロ)にも届かなかった。

東倉里から2段目の推進体落下予想区域(フィリピンの東側の太平洋上)まで最大約3100キロ(直線距離)の飛行区間の8分の1程度しか飛ばなかった。2016年2月の「光明星4号」以来7年ぶりの衛星打ち上げが完全に失敗した。12年4月の「光明星3号」の打ち上げも失敗している。

●「打ち上げ手続き、性急に進行、2段目の推進体故障」

同日午前6時29分頃(合同参謀本部の発表時刻、北朝鮮は6時27分と発表)、「軍事偵察衛星1号機」を搭載して打ち上げられた北朝鮮の発射体は、約10分後の6時40分頃、西海上に墜落した。「1段目の分離後、2段目の発動機(エンジン)の異常で推進力を喪失して墜落した」という北朝鮮の発表から、1段目の推進体の燃焼及び分離後、2段目の推進体が故障し、点火できなかったことが失敗の原因として指摘される。これにより、発射体の推力が急激に低下し、飛行が制御不能となって海上に墜落したとみられる。

趙光来(チョ・グァンレ)元韓国航空宇宙研究院長は、「2段目推進体のスターター(始動器)やターボポンプなどに問題が発生し、燃料と酸化剤がエンジンに適切に供給されなかったと推定される」と話した。液体燃料推進体のエンジンは、「スターターの作動→ターボポンプの稼働→燃料と酸化剤のエンジン内流入→点火剤注入」の手順を経るが、初期段階で誤動作が発生した可能性があるということだ。また、推進体の多数のバルブの一部が問題を起こした可能性もある。

韓国航空大学の張泳根(チャン・ヨングン)教授は、「新しいエンジンの十分な地上燃焼試験を行わなかった結果と推定される」と分析した。「新型発動機(推進体)の信頼性と安全性が低下」という北朝鮮の発表からも分かるように、性能検証が不十分なまま打ち上げを強行した可能性があるということだ。

北朝鮮が「燃料の不安定性」に触れたことから、より強い推力を出そうと既存のロケット燃料と成分調整比を変えたことが失敗の原因になった可能性もある。結局、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)15・17」に使用された白頭山(ペクトゥサン)エンジンを改良した液体燃料エンジンで衛星発射に挑んだが、技術的な欠陥を露呈したという分析に重きが置かれる。

軍関係者は、「今回の打ち上げは、過去より(打ち上げ手続きが)早く行われた」と明らかにした。最近まで東倉里発射場の改修・増築などを通じて衛星体の組み立てや発射体の搭載、発射台の設置など発射過程を最大限隠すとともに、韓米の監視網を避けるために手順を短縮して急いで進めたことが失敗の原因である可能性がある。

●軍、迅速に残骸を回収・・・ICBM技術の解明に注目

軍は、北朝鮮の宇宙発射体の打ち上げから約1時間40分後の午前8時5分頃、於青島の西200キロの海上に浮かんでいた1、2段目推進体の連結部と推定される円筒形の残骸を回収した。軍関係者は、「北朝鮮が日本の海上保安庁に打ち上げを通報した直後(29日)から、水上救難艦『統営艦』など艦艇を1段目推進体の落下予想海域に出動させて待機していた」と話した。

引き上げられた残骸の表面には、「点検門13(機構組立)」と赤くハングルではっきりと書かれていた。「点検門」は、打ち上げの準備過程で技術陣などが胴体内部を点検する目的で開閉する扉を意味する。外観上、12年4月に回収した「銀河3号」の1段推進体の残骸(酸化剤タンク)と似ている。軍は、正確な実体は精密分析を経て解明する予定だと明らかにした。

軍は、当該水域に1、2段推進体などがすべて墜落したとみて、追加の引き揚げ作業に力を入れている。推進体をすべて回収する場合、北朝鮮のICBM技術力の解明の「スモーキングガン(決定的な証拠)」になる可能性があるからだ。軍は12年4月、打ち上げに失敗した銀河3号の1段目推進体の残骸を回収し、国内外の専門家の精密分析を経て、北朝鮮が31万キロ以上飛ぶことができるICBMの独自開発技術を備えているという結論を出した。軍当局者は、「偵察衛星まで回収すれば、北朝鮮の衛星技術の実体も把握できるだろう」と話した。


尹相虎 ysh1005@donga.com · 孫孝珠 hjson@donga.com