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通勤なしに生きること

Posted May. 29, 2023 08:39,   

Updated May. 29, 2023 08:39

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「毎日蓄積されたものが、あなたたちを弱める!24時間ずっとボクサーという自覚を持って生きろ!」(森川ジョージ『はじめの一歩』)

詩と歌を創作しながら生きる私の人生は、長所が多い。一番良い点は、やはり出勤がないということ。出勤がないということは、朝、携帯電話のアラームで無理やり起こされる必要がないということで、それは夜の時間を存分に使えるということだから。皆が眠っている夜になると、私は夜空の星のように降り注ぐ感情を持って遊び、それを詩や歌にしてインスピレーションになるような他人の創作物を鑑賞する。この時間がこの上なく大切だ。

しかし、出勤のない人生がただ良いだけではない。出勤がないということは、退社がないことを意味したりもする。他の人たちが、夕方になると業務に対するすべての考えとストレスを事務室に置いて帰宅するのと違って、私は24時間、自分の仕事である創作に対する考えを抱えて生きなければならない。そうしてはならない瞬間にも、起きるすべてのことを創作と関連付けて考えたりもした。昔の恋人との別れ、周りの人の死、家族との争いまでも、感情を落ち着かせたり、状況を収拾するよりは使える文章になるのではないかという気持ちが先に飛び出したりした。時には夢でも創作をし、眠っていた時に思い出された考えが飛んでしまう前に創作をすると言って、眠れない夜もあった。

退社のない人生に疲れて怠惰になる頃、ボクシング漫画「はじめの一歩」の一シーンを取り出して読んだ。チャンピオンを夢見て練習に邁進している体育館員たちを呼び止め、館長は言う。「24時間ずっとボクサーという自覚を持って生きろ!」。そう、世の中にはただの職業であるだけでなく、自分のアイデンティティにしなければならないこともあるのだ。館長の一喝は、まるで私に向けられたようだった。世の中にただで得られるものはない。出勤のない人生の甘さを享受するためには、退社のない人生も耐えなければならない。