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詩人・鄭浩承さん「私は詩を捨てたが、詩は私を捨てなかった」

詩人・鄭浩承さん「私は詩を捨てたが、詩は私を捨てなかった」

Posted October. 01, 2022 08:54,   

Updated October. 01, 2022 08:54

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「職場に通うために、15年間、詩を一編も書かなかったことがあります。私は一時ながら詩を捨てた詩人ですが、詩は私を捨てませんでした。母親ように私の手を握って、50年間導いてくれた詩に感謝の挨拶をします」

詩人の鄭浩承(チョン・ホスン)さん(72)は9月29日、ソウル麻浦区(マポグ)のチャンビソギョビルで開かれた「登壇50周年の記念ブックトーク」で、詩という存在に感謝の気持ちを表した。1972年に登壇し、詩集「悲しみが喜びに」(創批・1979年)、「寂しいから人だ」(ヨルリムウォン・1998年)などで韓国叙情詩に大きな一線を画した詩人だが、家庭を成して生業に追われながら、詩を書かなかった過去から告白した。

「詩を50年間も書いたというより、70歳を超えたというのが衝撃です。特にここ10年間、何をしていたのかと思うのですが、詩集を何冊か書いたこと以外は、毎日ご飯をたくさん食べているだけですね」。

冗談と違って、詩人は依然として詩に本気だ。9月23日、14番目の詩集「悲しみが宅配で来た」(創批)を出版した。2020年の「あなたを探して」(創批)以来2年ぶりのことだ。

同日、鄭詩人は、直接詩集に盛り込んだ詩をじっくり朗読した。頭が白い中年の読者は目を閉じたまま詩を吟味し、若い女性の読者たちはスマートフォンを持って撮影した。年齢も性別も違ったが、詩人の声で詩を聞く瞬間だけは皆が一つだった。

「悲しみが宅配で来た/誰が送ったのか分からない/送った人の名前も住所も書かれていない/急いで悲しみの箱と包装紙を剥がす/剥がしても剥がしても悲しみは出ない」(詩「宅配」より)

今回の詩集には、特に目立つ文字が一つある。「私が地に落ちるということは/責任を負うことだ」(詩「落果」より)等、詩6編に「落」が入っている。詩人は、「マンション団地を散歩して、床に落ちたまま香りを出して腐っていくカリンを見て書いた」と話した。

「年を取るにつれて、私の人生はどうやって落ちるべきなのかを考えるようになります。皆さん、詩を探したければ、人生をじっくり見てください。(直接書かなくても)人生の中に詩があります」


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com