ホルムズが封鎖されると、世界経済は止まった。実のところ、イランがホルムズ海峡を封鎖すると警告した当初、多くは繰り返されてきた「脅し」と受け止めていた。イランとイラクの対立が極度に高まった1980年代でさえ封鎖には踏み切らなかったためだ。世界市場も大きくは動揺しなかった。
しかし今回は違った。実際に封鎖が行われ、世界で最も重要なエネルギー輸送路が麻痺した。その瞬間から、数字ではなく現実が揺らぎ始めた。原油供給が滞ると国際価格は即座に反応した。原油を原料とするナフサやエチレン、いわゆる「産業のコメ」が枯渇し始め、石油化学やプラスチック産業が揺らいだ。その上に成り立つ自動車や造船といった製造業にも連鎖的な影響が及んだ。一つの資源が途絶えると産業全体がドミノのように崩れる脆弱な構造が露呈したのである。
問題はエネルギーにとどまらなかった。海上輸送路そのものが遮断され、輸出依存度の高い韓国経済は別の衝撃にも直面した。輸出企業はホルムズ海峡や紅海を避け、アフリカの喜望峰を回る迂回航路を選ばざるを得なかった。これは単なるルート変更ではない。輸送期間は長期化し、コストは急増し、納期や契約の不確実性も高まった。輸出という「システム」自体が揺らぎ始めたのである。
こうした状況は一つの事実を明確に示している。すなわち、われわれがすでに「サプライチェーンの武器化」時代に入ったということだ。昨年、中国はスマートフォンなど各種先端製品の製造に不可欠なレアアースの輸出規制カードを切り、米産業界を圧迫した。今回はイランがホルムズ海峡を封鎖することで米国と交渉の場に向き合った。中国のレアアース武器化が米国に対する「前哨戦」だったとすれば、今回のホルムズ事態は世界経済全体を人質に取った「本編」に近い。国家はもはや軍事力だけでなくサプライチェーンを通じて相手を圧迫する。「私はいつでも、お前に必要なものを断つことができる」というメッセージが、強力な武器となってしまった格好だ。
より深刻なのは、その威力を知った以上、この戦争が終わっても世界は元に戻らないという点だ。主要外信は、イランが米国や中国に続き「経済的ボトルネック(pinch-points)」を戦略的に活用する国家の一角に加わったと評価する。そしてこれは始まりにすぎない。今後はさらに多くの国がサプライチェーンを人質に発言力を高め、世界経済の不確実性も一段と増すだろう。
さらに問題は、このゲームにおける韓国の位置だ。原油や原材料、物流網に深く依存する構造のため、誰かがそれを断てば揺らがざるを得ない。では逆に、われわれは何を握っているのか。他国が「韓国なしでは持ちこたえられない」と言える分野はあるのか。
幸いにも、メモリ半導体や防衛産業といった他国が依存する「武器候補」は存在する。しかしそれだけでは不十分だ。サプライチェーンの中で代替不可能な不可欠の位置に立てなければ、次の危機でも再び揺らぐことになる。戦争はいずれ終わるだろうが、サプライチェーンが武器となった時代はもはや後戻りできない。我々はいつまでも外圧に翻弄され、途絶し得る国であり続けるのか。それとも「我々以外に代替はあるのか」と問い返せるだけの「したたかさ」を備えた国へと変わるのか。
アクセスランキング