支持率は30%台。政権発足後の最低水準に落ち込んだ。与党は地元でも選挙に敗れ、いわば「牙城」すら失った。司法は核心政策に正面から歯止めをかけた。党内外ではすでに次期大統領選の候補が取り沙汰されている。
どの国の指導者であれ、こうした兆候が重なれば、通常は「レームダック(権力の求心力低下)」との診断が下される。レームダックが始まると、権力の重心は徐々に現在から未来へと移る。側近は距離を取り始め、政策の推進力は投入した労力に見合わなくなる。政界の関心も大統領の動向ではなく、「その後」を担う人物へと向かう。
トランプ米大統領は、こうした兆候に最近一度に直面した。昨年1月に再び政権を握ってからまだ任期の折り返しにも達していないが、すでに「早期レームダック」の可能性が公然と語られている。
一般にレームダックのシグナルは複数の軸で同時に現れる。特に今回の論争に火をつけたのは、米連邦最高裁による関税判断だ。最高裁はトランプ政権の核心アジェンダである関税政策を違法と判断し、その制度的基盤を揺るがした。
もう一つの兆候は与党・共和党内部の亀裂だ。党内では大統領の主要政策に対する公然たる不満が増え、立法過程で速度調整に入る動きも目立つ。大統領の意向が党内で一糸乱れず貫徹されないのは、その権力が統制可能な指揮体系として機能していないことを示している。
相次ぐ選挙敗北もレームダック論をあおっている。共和党は最近、フロリダ州議会補欠選挙で敗北した。フロリダは2016年の大統領選以降、共和党候補が3連勝してきた地域であり、トランプ氏の自宅もある。実際、共和党は昨年12月の同州最大都市マイアミの市長選でも敗れ、その前にもニューヨーク市長選やバージニア州、ニュージャージー州知事選などで相次いで敗北した。
トランプ氏が「孤立主義」の原則を破り、無理筋とみられるイランとの全面戦争を選択したのも、結局はレームダックへの危機感による焦りの表れかもしれない。一方で、レームダック論は時期尚早との反論も根強い。レームダックの決定的な兆候は権力の実質的な離反だが、依然として共和党や保守陣営の視線はトランプ氏に向いている。中核支持層である「MAGA」の結束もなお強固だ。伝統的政治家とは異なり、トランプ氏の支持基盤は制度的政党ではなく、強力な個人のファンダムに根差している。最近、米CNNのデータ分析担当者は米NBCの調査を引用し、自らをMAGA共和党員とする回答者の間では支持率が100%に達したと伝えた。
通常、レームダックに陥った指導者は防御的になる傾向がある。だがトランプ氏は依然として内外で議題を主導し、攻勢的に政策を推し進めている。イランとの戦争も、レームダックへの焦燥ではなく、むしろ強力な指導力の誇示とみる解釈もある。
レームダック論争の行方は今年11月の中間選挙の結果に大きく左右される可能性が高い。共和党が善戦すれば、大統領の権力基盤が再確認され、当面はレームダック論は沈静化するだろう。逆に惨敗すれば「早期レームダック」が現実味を帯びる。さらにMAGAですら、自分たちの信念を体現する新たな人物へと関心を移すかもしれない。
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