
米国とイランの武力衝突で固く閉ざされていたホルムズ海峡から、開戦後81日ぶりに韓国籍タンカー1隻が初めて脱出した。原油200万バレルを積んだHMM所属タンカー、ユニバーサル・ウィナー号は19日未明、カタール近海で運航を開始し、20日にホルムズ海峡を通過した。この船舶には韓国人船員9人を含む21人が乗船している。オマーン湾を経て、来月10日前後に蔚山(ウルサン)港へ入港する予定だ。
中東の火薬庫の真っただ中で、韓国船舶と船員らが初めて無事に脱出したことは幸いだ。イラン戦争勃発後、韓・イラン外相間で数回にわたり緊急電話会談を行い、イラン現地にも特使を派遣して、韓国船舶の安全と自由な通航を継続的に求めてきた結果だと、韓国政府は説明している。今回の通航に際し、イラン側へ別途通行料や対価を支払わず、同盟国である米国とも緊密な事前協議を行った点も明らかにした。
しかし、1隻の無事通過に安堵するのはまだ早い。被弾したナム号を含め、韓国船舶25隻と韓国人船員約110人が依然としてホルムズ海域に足止めされているためだ。政府は、1人の人的被害も、1隻の損失も出さず、全員が無事帰還するまで外交力を総動員しなければならない。
同時に、今月4日に発生したナム号被弾事件の原因究明も急ぐ必要がある。趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は20日、国会に出席し、被弾調査はほぼ最終段階にあるものの、攻撃主体をまだ正確に特定できていない状況だと説明した。攻撃主体が判明すれば、原則的かつ比例的な対応を取る一方、韓国の船舶と船員の安全を最優先に考慮しなければならない。
中東情勢は、いつ爆発するか分からない時限爆弾だ。最近、米国の対イラン攻撃は見送られたが、トランプ米大統領の決断次第では戦闘が再燃する可能性もある。この場合、韓国船舶と船員らも深刻な危険にさらされかねない。戦争が制御不能に拡大するリスクに巻き込まれないよう、緻密な外交戦略を整える必要がある。






