
三星(サムスン)電子の労使が賃金協約で暫定合意に達し、ストライキ危機は回避されたものの、韓国産業界には少なからぬ波紋が広がる見通しだ。これに先立ち、SKハイニックスに続いて三星電子も「営業利益連動型成果給」を導入し、財界に「報酬パラダイムの転換」という新たな課題を投げかけたためだ。今回の事態を契機に、かつてない人工知能(AI)ブームによる好況の中、合理的な成果報酬体系のあり方について議論が必要だとの指摘が出ている。
三星電子の労使は20日、事業成果の10.5%を財源として、今後10年間にわたり半導体(DS)部門の社員に特別成果給を支給することで合意した。事業成果とは事実上、営業利益を意味する。これに加え、すでに支給している超過利益成果給(OPI=営業利益の約1.5%規模)も考慮し、労使は年間営業利益の12%を成果給財源として活用することで合意した。
これにより、証券各社が予想する今年の三星電子の営業利益350兆ウォンのうち、約42兆ウォンが成果給に充てられる見通しだ。DS部門メモリ事業部で年俸1億ウォンの社員は、1人当たり約6億900万ウォンの成果給を受け取ると予想される。
昨年にはSKハイニックスが、今後10年間にわたり毎年営業利益の10%を成果給財源として活用することを決めている。今回、三星電子も類似した営業利益基準の成果給支給を決めたことで、こうした営業利益連動型報酬体系が韓国産業界の「ニューノーマル」として定着するとの見方も出ている。2001年に三星電子が財界で初めて、成果に応じて年俸の「N%」を成果給として上乗せする超過利益成果給制度を導入した際にも、主要大企業の報酬体系転換に影響を与えた経緯がある。
問題は、営業利益連動型報酬体系が世界的にも前例を見いだしにくい点だ。高額報酬で知られるグローバル・ビッグテック各社は、利益だけでなく、売上高や個人実績、組織評価などを総合的に考慮して成果給を支給している。
AI特需の恩恵を受けた企業と、それ以外の企業との格差が拡大し、大企業内部でも賃金格差が広がるとの分析も出ている。今年第1四半期(1~3月)の韓国有価証券市場上場企業(金融会社除く)の営業利益の全体に占める三星電子とSKハイニックス2社の割合は77%に達した。成果給財源を約10%と単純計算すると、国内上場企業全体の営業利益の7.7%を、三星電子とSKハイニックス社員が成果給として受け取る計算になる。
淑明(スクミョン)女子大学経済学部の姜仁洙(カン・インス)教授は「AIによる半導体好況を迎えた三星電子、SKハイニックスとは異なり、大半の企業には無理な報酬体系を負担する余力がない」とし、「成果給には動機付けという肯定的側面もあるが、過度になれば企業の将来的な成長可能性を損なう恐れがあるだけに、合理的な報酬体系が何かを巡る議論が急務だ」と指摘した。
パク・ヒョンイク記者 beepark@donga.com






