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クーパン創業者の傲慢と韓国の自尊心

Posted February. 09, 2026 08:39,   

Updated February. 09, 2026 08:39


「クーパンは誇るべき韓国企業だ。韓国で創業し、成長し、事業の99%以上を韓国内で展開している」

2019年7月、日本が韓国に対する輸出規制に踏み切った時のことだ。韓国では大規模な日本製品不買運動が起き、その標的にはクーパンも含まれた。日本のソフトバンクから巨額投資を受けているという理由からだった。そこでクーパンが持ち出したのが、いわゆる「クーパン=韓国企業」論だった。

21年3月に米ニューヨーク証券取引所に上場するまでは、クーパンは自らを「韓国企業」だと強調してきた。創業者のキム・ボムソク・クーパンInc議長は、上場当日のインタビューで、クーパンの成功を「漢江(ハンガン)の奇跡の一部」とまで表現した。

しかし、個人情報流出問題後、キム氏の言動は一変した。議長の懐に入る資金の90%が韓国の消費者から生み出されているという事実には目をつぶり、完全に「外国企業の経営者」を装っている。国会への出席要求を拒否した際に掲げた理由も「グローバル企業のCEO」だった。韓国の消費者に対する姿勢も、無責任の極みといえる。事態が発覚して80日が過ぎても、被害者3400万人の前に一度も姿を見せていない。謝罪なのか弁明なのか判然としない書面を1枚出しただけだ。

こうした中、韓国に対する米政界・官界からの圧力は日増しに強まっている。先月には、バンス副大統領が金民錫(キム・ミンソク)首相に、クーパンなど「米国の技術企業」に不利益を与える措置を取らないよう発言したとの外国メディア報道が出た。今月5日には、米下院司法委員長のジム・ジョーダン氏とスコット・フィッツジェラルド議員が、クーパンに対する韓国政府の「標的攻撃」を直接調査するとし、公聴会開催を予告した。ジョーダン氏の政策・戦略担当の筆頭顧問だったタイラー・グリム氏が、現在クーパンのロビイストとして登録されていることを考えれば、その背景を推し量るのは難しくない。

では、何がキム氏をここまで傲慢にしたのか。

第1に、韓国政治が作り出した「傾いた運動場」によって確保された、圧倒的な市場支配力だ。上場直前の20年時点では、クーパンの年商は大型量販店3社の半分程度にすぎなかった。それがわずか4年で、3社合計を追い越した。深夜・休日営業を規制する流通産業発展法に縛られて量販店が身動きできない間、クーパンが事実上「ノーマーク」で市場を席巻した結果だ。巨大化しきった「恐竜」クーパンにとって、韓国政府はもはや恐れる存在ではない。

第2に、自国企業には厳しく、外国企業には甘い、韓国の「自虐的規制」だ。韓国では資産5兆ウォンを超える企業のオーナーは、公正取引法上「総帥」に指定され、さまざまな規制を受ける。ところが21年、クーパンの資産が5兆ウォンを超えた際、公正取引委員会は、キム氏が米国市民権を保有していることを理由に「総帥」に指定しなかった。「外国人」という盾の背後にいれば、規制の刃は届かないことを、当局自らが示した格好だ。

最後は、これまでワシントン政界にばらまいてきた資金への確信だろう。クーパンは21年の米国上場以降、米政界・官界へのロビー活動に150億ウォン以上を投じてきた。その効果は、すでに随所に現れている。

以上を総合すれば、米政府と政治権力を背後にした高圧的対応が変わる可能性は極めて低い。問われるのは、これからの韓国政府の対応だ。関税問題が喉に刺さった小骨のように残る状況で、少しでも「過剰反応」すれば、国益に致命的な損害を与えかねない。かといって、キム氏の思惑通りに従うことは、国家の威信と自尊心の面で到底容認できない。

この局面で、韓国政府と政界が取り得るほぼ唯一の対応策は、時代錯誤的あるいは自虐的規制によって韓国企業が被ってきた逆差別を一掃することだ。クーパンを制御不能の「怪物」に育てた大型量販店規制は、一刻も早く撤廃すべきだ。グローバル競争の時代にそぐわない大企業集団規制も、原点から見直す時期に来た。少なくとも、韓国企業が「米国企業」クーパンと公正に競争できる環境は整えなければならない。

ジョーダン氏は、クーパン公聴会の名分として、「韓国政府が韓国および中国企業に利益を与えるため、米国企業に対する標的攻撃を続けてきた」と主張した。韓国企業の手足を縛り、「米国企業」に便宜を図った挙げ句、またこんな理不尽な非難を受けることになれば、あまりにも呆れた話ではないか。