国内二大暗号資産取引所の一角を占めるビッサムで6日、顧客向けイベントの当選金として、約61兆ウォン相当のビットコインが誤って配布される事態が起きた。職員が通貨単位を「ウォン」ではなく「ビットコイン(BTC)」と入力したため、当選金が9800万倍に膨らんだ。単純な入力ミスが、巨大な金融事故に発展しかねなかった、あきれるしかない出来事だ。
ビッサムは約240人に対し、当選金として最低でも2000BTCずつを配布した。当日の相場(1BTC=約9800万ウォン)を基準にすれば、1人当たり1960億ウォン超に相当する。本来なら、これほど巨額の支給が発生する段階で、セキュリティーシステムが自動的に異常を検知するか、複数の担当者が検証して誤配を防ぐはずだ。だが今回の事故では、こうした多重の内部統制と安全装置が一切機能しなかった。
ビッサムによると、昨年9月末時点で顧客から預かって保有していたビットコインは4万2619枚、自社保有分は175枚にすぎない。それにもかかわらず、今回配布されたのは、顧客分と自社分を合わせた保有量の約14倍に当たる62万枚だ。実在しない「幽霊ビットコイン」を帳簿上で生成し、当選金として配ったも同然である。取引所が勝手に金を刷る「マネーコピー」ではないかとの批判が出るのも無理はない。
暗号資産は、ブロックチェーンという分散型台帳で管理するのが原則だ。しかし、ビッサムを含む多くの取引所は、取引の利便性を理由に、銀行のように顧客が預けたコインを自社のウォレットにまとめて保管し、取引履歴だけを内部台帳に記録している。顧客のコインは、出金されるまで取引所の台帳上に存在するにすぎない。この構造の下では、取引所が実際の保有量を上回るコインを帳簿上で作り出し流通させても、外部から把握するのは極めて難しい。
ビッサムは当選金の大半を回収したとしているが、この間に一部の当選者は受け取ったビットコインを売却し、現金化した。その結果、一時的にビッサム内のビットコイン価格が、他の取引所に比べて約10%急落する市場混乱も起きた。誤配分されたビットコインが他の取引所に流出していれば、回収は不可能だった可能性もある。誤配が起きた場合の責任の所在や、返還・補償の手続きを制度的に整える必要がある。
今回の事態は、暗号資産取引所がハッキングを受けたり、内部関係者が台帳を操作したりした場合、直ちに大規模な金融事故へと発展しかねない脆弱性を露呈させた。金融当局は事故の経緯を徹底的に調査し、取引所の事故が金融システム全体に波及しないよう、再発防止策とセキュリティー強化を講じるべきだ。
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