
青いウサギの帽子をかぶったエクアドル出身の5歳の男児、リアム・コネホ・ラモス君が、不安げなまなざしで車内を見つめている。スパイダーマンのリュックを背負っているが、背が低いため、かばんは腰のあたりまで下がっている。そのリュックをつかんでいるのは、米国土安全保障省傘下の移民税関捜査局(ICE)の捜査官だ。
先月20日、米ミネソタ州ミネアポリス近郊の自宅前で、父親とともにICE捜査官に連行され、全国的な怒りを呼んだ。リアム君と父親は、1日、裁判所の命令により釈放された。父子はこれまで、自宅から約2100キロ離れたテキサス州ディリーにあるICEの拘束施設に収容されていた。
リアム君は、トランプ政権の強硬な反移民政策を象徴する存在として注目を集めた。米CNNによると、一家は2024年に米国に来た。家族の弁護士は滞在は合法だと主張しているが、国土安全保障省は父親を不法滞在者と見ている。
連行当時、リアム君は武装したICE捜査官に取り囲まれた。捜査官が母親を拘束するため、リアム君を「おとり」に使ったのではないかとの疑惑も浮上し、ICEへの批判が強まった。リアム君に自宅のドアをノックさせ、母親を外に誘い出したという。
拘束のニュースが伝わると、ディリーのICE拘束施設前では、トランプ政権の反移民政策を非難する抗議集会が相次いだ。野党民主党のホアキン・カストロ下院議員は「約1100人が収容されている施設で、リアム君は落ち込み、十分に食事も取れていなかった」と指摘した。
テキサス州連邦地裁のフレッド・ビアリー判事は先月31日、「リアム君と父親を今月3日までに拘束施設から釈放せよ」と命じた。「この事件は、子どもに精神的な衝撃を与えてでも、日々の強制送還ノルマを満たそうとする誤った発想から生じたものだ」として、政府を厳しく批判した。
ビアリー判事は判決文の末尾に、リアム君が連行された当時の写真を添え、「マタイによる福音書19章14節」「ヨハネによる福音書11章35節」と記した。これらの聖句はそれぞれ、「イエスは言われた。子どもたちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。天の国はこのような者たちのものである」「イエスは涙を流された」という内容だ。
AP通信によると、リアム君一家が住む地域では、直近2週間でリアム君のほかにも3人の子どもが移民当局によって拘束施設に連行された。それでもトランプ政権は、強硬な反移民政策を維持する方針を明確にしている。ブランチ司法副長官は米ABCのインタビューで、今回の釈放決定について控訴するとし、「最高裁まで争うべき事案だ」と主張した。
林雨宣 imsun@donga.com






