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兵役のないグリーンランドの若者「米国の脅威が強まれば入隊も」

兵役のないグリーンランドの若者「米国の脅威が強まれば入隊も」

Posted January. 26, 2026 10:00,   

Updated January. 26, 2026 10:00


「米国の脅威が大きくなるなら、喜んで軍隊に行く気持ちはある。友人たちも似た考えだ」

デンマーク自治領グリーンランドの首都ヌークの港で24日(現地時間)に開かれたデンマーク海軍艦艇の公開行事で、20代のグリーンランド人男性のクリスさんは「軍艦を直接見て気分はどうか」との質問にこう答えた。トランプ米大統領の「グリーンランド併合」発言が、スローガンにとどまらず具体的な行動に移れば、自ら動くという趣旨だ。「これまでグリーンランドの人々は安全保障や軍事力強化を深く考えてこなかったが、これからは自分たちが役割を果たさなければならない」とも述べた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のデンマークは徴兵制を採っているが、これまでグリーンランド住民は対象外とされ、本土居住者にのみ適用されてきた。

しかし、ウクライナ戦争の長期化や米国のNATO関与縮小の可能性などを背景に、デンマークは昨年7月から女性も徴集対象に含め、兵役期間も4カ月から11カ月に延長した。ただし志願を募った上で不足分を抽選で補う仕組みで、全員が兵役に就くわけではないという。デンマークが現在の軍事力を維持すれば、グリーンランドの住民まで徴兵しなければならないという状況ではない。

しかし、トランプ氏の発言を受けて反米感情が高まる中、グリーンランドの若者の間では「自発的な入隊」を口にする人も出ている。4人の弟とともに艦艇を見学していた20代のニルスさんは、「グリーンランドの安定と平和、さらに独立を実現するには強くならなければならない。そういう状況になれば、私も弟たちも逃げない」と話した。

●艦艇を見たグリーンランド住民たち「安心する」

デンマーク海軍は同日、軍事的緊張が高まる中でも艦艇公開を実施した。米国の圧力が続く状況で海軍力を対外的に示す狙いがある一方、グリーンランド住民の不安を和らげる意図もあるとみられる。

会場には子どもから高齢者まで多くの住民が訪れ、操舵室や甲板、砲塔などを見学した。艦内では装備に触れて学べる体験プログラムも行われ、子どもたちが操舵輪を握る姿も見られた。先住民のヌカさんは「トランプの発言が出てから一日も落ち着いて眠れなかったが、艦艇を見て少し安心した」と語った。

水産業に従事する30代のカークさんは「米国の脅威が、韓国を圧迫する北朝鮮より大きいとは思わないが、住民が艦艇を見て力を得られればいい」と話した。

デンマーク海軍によると、同日の来場者は少なくとも5千人に上り、グリーンランドの人口(約5万6千人)の約1割、ヌーク市の人口(約2万人)の25%に相当するという。海軍関係者は「予定された行事を実施したもので、米国との状況を受けて企画したわけではない」とした上で、「想定以上の住民が訪れ、軍への関心の高さに驚いた」と述べた。

●デンマーク首相も「ヌーク訪問」

こうした住民への働きかけに、デンマークのフレデリクセン首相も動いた。首相は23日、ヌークを訪問し、グリーンランド自治政府首相のニールセン氏と会談した。トランプ氏の併合論を受け不安を抱く住民をなだめ、デンマーク政府への反発を抑える狙いがあるとみられる。フレデリクセン氏はデンマーク公共放送DRの取材に、現在の状況について「深刻だが、外交的・政治的なアプローチを試みる段階に来ている」と述べた。

一方でフレデリクセン氏は、トランプ氏がアフガニスタン戦争でのNATO同盟国の派兵を過小評価したことに強く反発した。「多くのデンマーク兵が命を落とし、負傷した。同盟軍の努力を疑うのは耐え難いことだ」と述べた。デンマークはアフガニスタンでの戦死者数が人口100万人当たり7.7人で、米国(7.9人)に次いで多いとされる。


柳根亨 noel@donga.com