昨年、20代の就業者数と就業率がともに減少した。就業者数は3年連続の減少で、就業率も5年ぶりにマイナスに転じるという「雇用ショック」が起きた。これは、20代の就業者数が人口減少以上のペースで落ち込んだことを意味する。若者雇用の寒波が現実のものとなっている。
昨年の経済成長率が1%にとどまり、労働市場に十分な温もりをもたらせなかったことは痛い。全体の就業率は改善したが、高齢者中心の雇用増による「錯覚効果」に過ぎなかった。経験者採用が主流となり、学校を卒業したばかりの若者が最初の職に就くまでに平均11.5か月を要するのが現実だ。
雇用の多い中小企業を経て大企業へ移る「キャリアのはしご」が機能すれば、少なくとも大企業への過度な集中を抑え、採用市場のハードルを下げることができる。だが実際には、中小企業から大企業へ転職できるのは、転職者10人に1人程度にすぎない。このような状況だからこそ、就職をあきらめた「就ポギ族(就職放棄者)」、長期間にわたり求職活動をやめて休んでいる「長白青(長期失業青年)」、さらには「専業子女(就業せず親と同居する子ども)」といった言葉が生まれているのではないだろうか。
昨年、20~30代の「何もせず休んでいた」人口は71万人に増えた。人口減少で若者雇用が改善するとの期待とは裏腹に、人工知能(AI)の普及などで採用構造が変わり、若者雇用の寒波は続いている。若者が雇用市場から長期離脱すれば、再参入の機会は遠のく。生涯にわたって稼げる総所得が減少し、経済的二極化のしわを一層深めることになる。若者向けの情け施しの政策として捉えるべき問題ではない。経済政策の最優先課題に、若者の雇用創出を据えるべきだ。
若者雇用の問題は複合的だ。労働市場から押し出された若者を戻すには、まず経済が息を吹き返し、雇用市場が活力を取り戻さねばならない。大企業やサービス分野で質の高い雇用が増えるよう、投資促進とサービス産業規制の緩和が不可欠だ。大企業正規職に偏った労働政策は、大企業と中小企業の格差を拡大し、若者を排除する。労働時間短縮や定年延長を導入する際には、若者雇用への影響を検証し、副作用を最小限に抑える必要がある。
仕事も所得もない若者への低利融資は、痛み止めにすぎない。AI導入で変化した雇用市場に合った教育・訓練と就職支援が求められる。労働市場から離脱し、休職状態にある若者の雇用、住居、負債、健康などの実態を把握し、支援する総合的な対策も求められる。若者が未来を描くためには、何より質の高い仕事が欠かせない。
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