年の瀬に企業関係者と話すと、業種や世代を問わず、話題に上らないことがないのが半導体だ。明日から始まる2026年、半導体企業が韓国の産業史に新たな地平を切り開くのではないかとの期待が広がっている。しかも、その期待は決して漠然としたものではない。市場と産業界が共通して注視する、半導体に関わる二つの数字がある。
一つ目は「営業利益100兆ウォン」だ。日本の野村証券は最近、三星(サムスン)電子の来年の営業利益を133兆ウォンと予測した。同社の主力製品であるDRAM価格は年初比で約40%上昇し、生産量が受注に追いつかない状況が続く。この流れが来年まで続けば、世界首位の三星電子が最大の恩恵を受けるとの見方が有力だ。SKハイニックスも高帯域幅メモリ(HBM)を武器に、同水準の営業利益を達成するとの予測が相次いでいる。
営業利益100兆ウォンは、韓国企業にとって象徴的な「夢の数字」である。これまで国内企業の年間最大営業利益は、半導体の「スーパーサイクル(超好況)」に乗った2018年の三星電子による58兆9000億ウォンにとどまる。グローバルに見ても、この壁を越えた企業は、サウジアラムコのように圧倒的な独占的地位を持つ企業や、米アップルのように先端分野で世界的覇権を握った一握りに限られる。もし三星電子とSKハイニックスがこの水準に到達すれば、それだけで韓国産業史の新章が開かれることになる。
二つ目の数字は「時価総額1000兆ウォン」だ。三星電子の時価総額は、半導体景気やウォン安などを背景に、30日時点で710兆ウォンを突破した。株価上昇の勢いが強まる中、2026年に時価総額が1000兆ウォンを超えるとする投資リポートも、11月以降、相次いで登場している。
一企業が時価総額1000兆ウォンに達するというのは、当該企業の力量だけで成し遂げられることではない。その国の資本市場と産業全体への信頼があって初めて到達できる領域だ。米国以外の製造業企業である三星電子が実際にこの水準に達すれば、それもまた韓国産業のパラダイム転換を象徴する出来事となるだろう。
しかし、視線を半導体以外の産業に移すと、厳しい現実も浮かび上がる。かつて「次の半導体」と期待された電池産業は、米国の環境エネルギー政策の転換に伴い、既存契約が相次いで破棄されている。石油化学や鉄鋼も、世界的な供給過剰の中で、いまだ構造改革の方向性すら定まっていない。韓国産業が半導体と非半導体に二極化しつつあるとの懸念も出ている。
2026年を真の意味での産業の転換点とするには、半導体の成果を他産業へ波及させなければならない。半導体投資を素材・部品・装置産業につなげ、雇用拡大や地域経済の活性化に結び付ける好循環を構築する必要がある。多くの企業関係者が業種を問わず、来年の半導体市況を注視している理由もそこにある。
台湾はすでにその可能性を示した。主要投資銀行は、今年の台湾の経済成長率を5%台と見込んでいる。代表企業であるTSMCが人工知能(AI)半導体の「勝者」に浮上し、売上高を年30%以上伸ばしたことが、国全体の飛躍を牽引した。韓国も来年、同様の試金石に立つ。三星電子とSKハイニックスの成長を、韓国産業全体の飛躍の起爆剤へと転化させるための備えが、いま求められている。
朴在明 jmpark@donga.com
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