
北朝鮮のハッカーとみられる人物から9億ウォン相当の暗号資産を受け取り、現役将校に接触して軍事機密を手に入れたとして、暗号資産取引所運営者に懲役刑が確定した。
大法院(最高裁)第3部(主審=李叔姸大法官)は28日、国家保安法違反(スパイ)罪に問われた暗号資産取引所代表のイ被告人(42)に、懲役4年、資格停止4年を言い渡した原審判決を最近確定したと明らかにした。被告人は北朝鮮側の指示を受け、現役軍人に接触して軍事機密を手に入れたとして起訴されていた。
被告人は2016年、オンラインコミュニティで北朝鮮ハッカーとして知られる「ボリス」(テレグラム上の活動名)を知り、ボリスが運営する違法賭博サイトに関与するなど関係を築いてきた。21年には2回にわたり、計9億2千万ウォン相当の暗号資産を受け取ったという。ボリスは、北朝鮮の偵察総局傘下のハッカー部隊「110号研究所」の工作員とされる。110号研究所は09年、青瓦台や国会などを狙った大規模DDoS攻撃の背後勢力と指摘されている。
18年、ボリスは被告人に対し、有事の際に北朝鮮指導部の排除を目的とする、いわゆる「斬首部隊」に所属する陸軍キム大尉(33)について調べるよう指示した。被告人は元軍人のいとこを通じて、キム大尉の個人情報を渡し、ボリスは21年からキム大尉と直接連絡を取るようになった。ボリスはキム大尉に対し、暗号資産を支払うので軍事機密を入手して送るよう持ちかけ、被告人は仲介役として腕時計型カメラやUSB型のハッキング装置(ポイズンタップ)を手配した。キム大尉はこれらを部隊内に持ち込み、機密文書を撮影したほか、韓国軍合同指揮統制体系(KJCCS)のログイン画面の写真なども被告人とボリスに提供した。
1審は被告人に有罪を言い渡し、ボリスが北朝鮮の工作員であり、被告人もその事実を認識していたと判断した。「極めて個人的かつ経済的な利益を追求する中で、場合によっては大韓民国全体を危険に陥れかねない犯行に及んだことを踏まえれば、厳罰は避けられない」と指摘した。2審と大法院も同じ判断を維持した。一方、キム大尉は軍事機密保護法違反などで起訴され、懲役10年、罰金5千万ウォンの判決が確定している。
ソン・ヘミ記者 1am@donga.com






