
「東アジア文明は決して中国だけの功績ではない。韓国、中国、日本が数千年にわたり共に創り上げてきた共同の結晶だ」
中国の不動産富豪で、詩人・小説家としても知られる中坤グループ会長の黄怒波氏(69)は22日、ソウル中区のロッテホテルでの東亜(トンア)日報とのインタビューで、「最近の中日対立などで高まった北東アジア地域の緊張を下げ、相互理解を広げていこう」と強調した。
黄氏は、韓国と日本に広がる反中感情に触れ、「北東アジアの主要国が文学で交流すれば、政治的緊張という氷も溶けるだろう」と期待を示した。また、「中国も、自らを世界の中心とし、他は周辺だとみなす中華主義的思考を乗り越える必要がある」と付け加えた。
北京大学中文科出身の黄氏は、約20年間にわたり公職に就いた後、不動産開発業に進出し、1995年に中坤グループを設立した。2010年代初頭には資産が約10億ドル(約1兆5千億ウォン)に達したとされる。実業家として知られているが、小説の執筆にも力を注ぎ、今年7月には長編小説『チョモランマ』で第1回東アジア文学賞大賞を受賞した。
今回の訪韓は、作家として両国の文化交流を拡大することが目的だと説明した。滞在中には『チョモランマ』の韓国語版を携え、韓国の読者と会う予定だ。さらに、慶州(キョンジュ)の仏国寺や石窟庵など、国内のユネスコ世界遺産17カ所を巡った紀行文の出版も計画している。近年は世界130カ国以上を巡り、各国の文明の痕跡やユネスコ遺産を詩と散文で記録している。
黄氏は11年、約2億ドル(約3千億ウォン)を投じ、北欧アイスランドで約300平方キロメートルの土地を取得し、リゾート建設を進めようとして注目を集めた。しかし、国土の約0.3%が中国人実業家の手に渡ることへのアイスランド国民の反発が広がり、「北極圏周辺で中国の影響力が過度に強まる」との世論を受け、最終的に契約は撤回された。
一部では、こうした海外投資や交流活動を、中国当局が関与する一種の「ソフトパワー戦略」とみる見方もある。これに対して黄氏は、「大学時代に親しかったルームメートがアイスランド出身で、その縁から始めた投資だ。中国を代弁する人物のように受け止められ、大きな重圧を感じた」と吐露した。
林賢錫 lhs@donga.com






