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「戦争の時代」 中東・アジアでも徴兵制強化の動き

「戦争の時代」 中東・アジアでも徴兵制強化の動き

Posted December. 13, 2025 09:09,   

Updated December. 13, 2025 09:09


 

国際情勢が不安定になり、中東やアジアの各国で徴兵制を強化する動きが広がっている。パレスチナ武装組織ハマスとの戦闘を2023年10月から続け、昨年と今年にはイランとも大規模な軍事衝突を経験したイスラエルは、昨年、男性の兵役義務期間を32カ月から36カ月に延長した。1995年に36カ月から32カ月に短縮したが、戦闘が長期化する中、再延長に踏み切った。イスラエルでは女性にも24カ月の義務兵役が課されている。

さらに、これまで兵役免除の対象だった超正統派ユダヤ教徒(ハレディーム)の徴兵も検討されている。ハレディームは、第2次世界大戦期のホロコーストで壊滅の危機に瀕したイスラエルの宗教・文化を守るとの理由から、長年にわたり兵役免除を受けてきた。人口の約14%(約130万人)を占め、現在約6万6千人が兵役免除対象となっている。

これに対し、ハレディーム側は徴兵反対の抗議行動を展開しており、イスラエル議会では徴兵忌避への罰則を緩和し、免除要件を見直す法改正を推進している。

台湾やフィリピンでも、中国が台湾海峡や南シナ海周辺で軍事力を増強する中、兵役制度の見直しが進んでいる。2018年に徴兵制廃止を打ち出していた台湾は、昨年、事実上徴兵制を復活させた。

台湾は当初、義務兵役を4カ月の軍事訓練に置き換え、志願制へ移行するとしていた。しかし、中国軍による台湾包囲演習が相次ぐなど安全保障上の脅威が高まる一方、志願兵の確保が進まなかったため、昨年、義務兵役期間を4カ月から1年に延長した。台湾は訓練の強化に加え、女性の義務兵役導入も検討しているという。

特に、昨年就任した親米・反中姿勢を鮮明にする頼清徳総統の下で、防衛態勢の強化が進められている。頼氏は先月26日の演説で、「北京当局は2027年の『台湾武力統一』完成を目標に、台湾への軍事侵攻準備を加速させている」とし、軍備強化の必要性を強調した。台湾政府は来年の国防予算を国内総生産(GDP)比3%超となる9495億台湾ドル(約44兆ウォン)に増額し、2030年までにGDP比5%へ引き上げる方針を示している。

志願制を採用しているフィリピンでも、中国との海上での物理的衝突が増える中、高校生や大学生を対象にした義務軍事教育の導入が検討されている。フィリピン政府は昨年、「今後10年間で350億ドル(約50兆2250億ウォン)を投じ、海洋・航空防衛能力を強化する」とし、軍事力増強計画を発表した。

タイとの国境で武力衝突を経験しているカンボジアも、来年から徴兵制を全面導入する方針だ。フン・マネット首相は今年7月、国境地域で「軍を評価し、改革目標を定める機会になった」とし、徴兵制への転換を表明した。カンボジア議会は2006年、18〜30歳の国民に18カ月間の兵役を義務づける徴兵法を可決したが、実際には施行されてこなかった。カンボジア政府は兵役期間を法に定められた18カ月から24カ月に延長した。女性は徴兵対象ではなく、志願制が施行されている。


アン・ギュヨン記者 kyu0@donga.com