Go to contents

貧困と絶望の束縛

Posted November. 27, 2025 09:13,   

Updated November. 27, 2025 09:13


 強烈な陽光が差し込む列車の中、1人の女性がうなだれたまま硬い木の座席に座っている。手には手錠がかけられ、脇には古びた包みが一つ置かれている。軍服を着た二人の男が背後に立ち、彼女を見張っている。この女性は、一体どんな罪を犯したというのか。

『もう一人のマルガリータ』(1892年・写真)は、「光の画家」ホアキン・ソローリャの画業に転機をもたらした作品だ。ピカソが登場する以前、彼はスペインで最も有名な画家だった。まばゆい海辺の日常風景で知られるが、若い頃には社会の暗部を直視した作品も多く残した。この絵も、マドリードとバレンシアの間を走る三等車で彼自身が目撃した場面を基に描かれている。二人の市民警備隊が、裁判に送られる女性囚人を護送している。「マルガリータ」という名は、当時バレンシアで娼婦を指す俗称であり、同時にゲーテ『ファウスト』の乳児殺しの犯人の名を連想させる。

ならば、この女性は自らの子を殺めた娼婦なのか。その可能性は高い。二歳の娘を持つ父親だったソローリャにとって、この光景はより強烈な衝撃を与えたに違いない。

列車の内部は冷たく、がらんとしている。黒い服に身を包んだ三人の間には、会話も温もりもない 。窓外から射し込む強烈な光は、むしろ彼女の羞恥と悲惨さを際立たせる。彼女はいま法廷へ向かっているが、「社会」という名の法廷では、すでにとうの昔に地獄のような罰を受けてきたのかもしれない。

ソローリャはこの作品でスペインと米国の展覧会で高い評価を受け、国際的名声を獲得した。しかし彼が本当に世界に問いたかったのは、こういうことではないだろう。罪の代償は個人が負うとしても、あの女性を断崖絶壁へ追い込んだ「貧困と絶望の束縛」は、誰が作ったのか。私たちの社会は今日も、また別のマルガリータを生み出してはいないかー。