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輸出と投資がけん引する「半導体スーパーサイクル」、構造改革の好機だ

輸出と投資がけん引する「半導体スーパーサイクル」、構造改革の好機だ

Posted November. 04, 2025 09:34,   

Updated November. 04, 2025 09:34


先月の韓国の輸出額は595億ドルを超え、10月としては過去最大を記録した。秋夕(チュソク、旧暦8月15日の祝日)連休の影響で稼働日数が減ったにもかかわらず、前年同月比で3.6%増加した。連日上昇を続けるKOSPIは、4000ポイントを突破してからわずか1週間後の3日には4200ポイントを超えた。輸出と株式市場の快進撃の背景には、半導体がある。韓国の主力産業である半導体がスーパーサイクル(超好況期)に入り、低迷していた韓国経済に活力を吹き込んでいる。

半導体の好況は、産業全体を温めている。国家データ処によると、9月の産業生産は前月比1.0%増加したが、その主因は半導体生産が19.6%急増したことにある。半導体関連の工事増加により建設投資が大きく拡大し、製造設備への投資も増加した。第3四半期の国内総生産(GDP)の成長率は1.2%を記録し、年間1%成長の達成可能性を高めている。また、半導体企業の業績改善などにより、今年1~9月の法人税収は前年同期比で21兆ウォン以上増加するなど、税収環境も改善している。

業界では今回の半導体好況が、2017~2018年とは質的に異なる長期的スーパーサイクルになるとの期待が高い。人工知能(AI)市場の拡大により、自動運転やロボットなど新たな需要が続々と生まれているからだ。AIが「学習」から「推論」へと進化するにつれ、高帯域幅メモリ(HBM)だけでなく、旧型メモリの需要も増えている。供給が需要に追いつかないボトルネック現象まで生じているほどだ。

しかし、この好機を生かせなければ、一時的な効果に終わるおそれがある。2017~2018年当時も、半導体景気の好調に酔いしれ、AIへの転換など迫り来る変化への備えを怠った。急務だった産業構造改革は後回しにされ、増えた税収は財政支出の拡大に充てられた。その結果、2019年に半導体好況が終息すると韓国経済も同時に低迷し、それ以降、1%台の長期低成長から抜け出せずにいる。

今回は同じ過ちを繰り返してはならない。企業は現在の好況に安住せず、超格差技術の開発と革新に全力を注ぐべきだ。政府と国会は「半導体特別法」などの支援策で企業を後押しし、経済体質の改善と潜在成長率の引き上げを目指した構造改革を加速させなければならない。増えた税収を活用し、財政健全性を回復することも重要だ。今回の半導体スーパーサイクルを、低成長の泥沼に沈む韓国経済を立て直す最後の反転のチャンスとしなければならない。