李在明(イ・ジェミョン)政権の初の国政監査で「不可解な1勝」を挙げた人物がいる。国会法制司法委員会所属の無所属・崔赫振(チェ・ヒョクジン)議員は、国政監査初日に曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長を豊臣秀吉に見立てた合成写真「曺ヨトミ喜大ヨシ」を持ち出した。根拠を示さず、曺氏が親日保守ネットワークによって推薦された人物だと主張し、大法院長を揶揄した。数日後には実在しない、野党「国民の力」羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員の姉が尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏の側近に愛人を紹介したという荒唐無稽な主張もした。さらに翌日には隣席の「国民の力」の朱晋佑(チュ・ジンウ)議員の質疑時間中、体と顔をひねって目を見開き、凝視して質疑を妨害した。知名度を上げるための無所属新人議員のノイズマーケティングと片付けるには度が過ぎた奇行だった。
呆れたのは、奇行を繰り返したことで、議員活動開始からわずか4カ月で後援金1億5千万ウォンを集めたことだ。崔氏はこれについてフェイスブックで「『応援します』『頑張ってください』の一言一言が大きな励ましとなり、『より誠実に働かなければ』という決意を新たにした」と投稿した。知名度を高め、与党支持層の支持を受け、後援金も多く集まったことで、個人としては一石二鳥だ。
崔氏は文在寅(ムン・ジェイン)政権時、大統領府社会的経済秘書官を務めた。当時の関係者によると「控えめで目立たない性格だったが、政治家として変貌した姿に驚いた」と語った。国政監査後、与党「共に民主党」への復党を期待していると伝えられている。来年の地方選では故郷・江原道原州市(カンウォン・ウォンジュシ)で市長に出馬するとの見方もある。
崔氏は活動開始当初からノイズを巻き散らした。与党系の比例衛星政党「共に民主連合」出身で、今年6月に比例代表議員だった魏聖洛(ウェ・ソンナク)国家安保室長らが大統領室参謀に移ったことで、比例代表職を継承した。しかし、基本所得党枠で推薦されたにもかかわらず同党加入を拒否し、政治的道義を守らなかった。基本所得党の龍慧仁(ヨン・ヘイン)代表は崔氏を「議席を盗んだ政治詐欺師」と非難したほどだ。
崔氏は選挙区で選出されたわけでもなく、比例代表候補の本来の所属も拒否した。「共に民主連合」に投票した有権者の意思や民意を反映できない制度の欠陥が露呈したのだ。「選出されていない権力」でありながら、免責特権の陰で根拠のない主張を続けている。
これは国会が責任を放棄した結果だ。第21代総選挙で初めて生まれた比例衛星政党は、政界の離合集散によって急造されては消え、十分な検証もなく能力不足の候補を拙速に公認する結果を招いた。すでに第21代国会では慰安婦被害者支援団体の後援金を横領した尹美香(ユン・ミヒャン)元議員や財産を過少申告した金弘傑(キム・ホンゴル)元議員など、衛星政党出身議員の資質問題が浮上した。にもかかわらず選挙法改正など制度改善の議論は進まず、第22代総選挙でも「即席政党」が繰り返された。
巨大与党である「共に民主党」は司法改革に注力する前に、歪んだ選挙制度や免責特権の改善など自己改革に取り組むべきだ。自陣営と支持層だけを見つめる「赫振奇行」型政治は、国会全体の格を落とし、韓国政治を霧の中に閉じ込めるだけだ。一滴の濁りが、池全体を曇らせることを忘れてはならない。
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