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三星、TSMC独占を崩しテスラ向け「AI5」供給 ファウンドリ事業に追い風

三星、TSMC独占を崩しテスラ向け「AI5」供給 ファウンドリ事業に追い風

Posted October. 24, 2025 07:43,   

Updated October. 24, 2025 07:43


三星(サムスン)電子が、台湾の半導体ファウンドリ(受託生産)の最大手であるTSMCの独占構図を崩し、米テスラの自動運転向け次世代人工知能(AI)半導体「AI5」を供給することになった。これまで三星電子半導体部門の「痛い指」とも呼ばれてきたファウンドリ事業だが、最近ではグローバル大手IT企業との相次ぐ契約に成功し、自社開発のモバイル用アプリケーションプロセッサー(AP)「エクシノス2600」が次期スマートフォン「ギャラクシーS26」に搭載される見通しが立つなど、明確な復活の兆しを見せているとの評価が出ている。

●強まるテスラと三星電子の同盟

米現地時間で22日、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、今年第3四半期(7〜9月)決算発表のカンファレンスコールで「AI5チップは三星電子とTSMCの両社で製造を行う」と明らかにした。

テスラのAI半導体は、車両に搭載され自動運転機能を支援するもので、今後はヒューマノイド型ロボットへの応用も予定されている。

「AI5」の生産を全量TSMCに委託し、その次の「AI6」から再び三星電子が生産を担うと発表していた。しかしマスク氏の「サプライズ発言」により、「AI5」の生産にも三星電子が参画することが決まった。

半導体業界では、今回の受注を機にテスラと三星電子のAI半導体同盟がさらに強化されたとの見方が出ている。テスラがAI6の開発・生産協議の過程で、三星電子のファウンドリ技術力を高く評価し、その前段階となるAI5の製造まで任せることにしたとの分析もある。

半導体業界の関係者は「テスラがAI4からAI6までを三星電子に生産を委ねるというのは、それだけ同社のファウンドリ技術を認めたという意味だ」とし、「次世代の主力となるAI5の生産において、TSMCへの全面依存を避けた点も今回の決定の背景にある」と語った。

AI5は、AI6とともに来年稼働予定の米テキサス州テイラー半導体工場で生産される可能性が高い。AI4は、三星ファウンドリの平澤(ピョンテク)工場で量産されているという。

●巻き返しのチャンスをつかんだ三星のシステム半導体

昨年から四半期ごとに兆ウォン単位の損失を計上してきたLSI事業部とファウンドリ事業部など、三星電子のシステム半導体部門も、相次ぐ大型受注の成功で巻き返しを狙える局面を迎えている。

三星電子は7月に、テスラと23兆ウォン規模のAI6半導体受託生産契約を締結したのに続き、8月には米アップルから「スマートフォンの目」と呼ばれるアイフォーン向けイメージセンサー(CIS)の設計や受託生産の契約を獲得した。

また最近では、自社製モバイルAPチップ「エクシノス2600」が、来年発売予定の「ギャラクシーS26」に搭載される可能性が高いとの報道もあり、来年の業績回復の糸口をつかんだとの評価が出ている。前作「ギャラクシーS25」では、三星電子のエクシノスに代わり米クアルコムの「スナップドラゴン」が全量採用されていた。さらに、ファウンドリ事業部は、次世代広帯域幅メモリ(HBM)「HBM4」の量産が始まれば恩恵を受けるとの見方もある。

KAIST電気電子工学部の金楨浩(キム・ジョンホ)教授は「グローバル大手IT企業のTSMCへの依存度低下と、三星電子のファウンドリ歩留まりの向上が重なり、相次ぐ受注につながっている」と述べ、「三星電子だけでなく、国内半導体エコシステムの拡張という観点からも大きなチャンスになるだろう」と指摘した。


イ・ドンフン記者 dhlee@donga.com