今月末のトランプ米大統領の訪韓を前に、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との「サプライズ会談」実現に関心が集まっている。米CNNは、米政府がトランプ氏の訪韓に合わせて正恩氏と会うことを非公開で検討してきたと報じた。これに加え、国連軍司令部が訪韓期間中、板門店(パンムンジョム)共同警備区域(JSA)の特別見学を中止したほか、第1次政権で北朝鮮実務を担当したケビン・キム国務次官補代理がまもなく駐韓米国大使代理に任命されるとの情報も伝わっている。
予測不能な動きを好むトランプ氏だけに、訪韓を前に米朝電撃会談の可能性に注目が集まるのは当然といえる。2019年6月、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)出席のため日本を訪れたトランプ氏が、わずか32時間後に板門店で正恩氏と会談したように、今回も即興的な提案と即断で再び外交ショーを演出する可能性はある。
ただし現状では、万一に備えた準備段階にすぎず、実現性には懐疑的な見方が多い。今回の訪韓でトランプ氏の最優先課題は、中国の習近平国家主席との通商交渉の決着にある。正恩氏との会談まで関心を向けるかは不透明だ。正恩氏も、成果のなかった6年前の会談を再演するほど甘くはない。どんな「見せ場」でも、双方の思惑が一致しなければ成立しないというのが大方の見方だ。
にもかかわらず、韓国政府の期待感はかなり高いようだ。トランプ氏が米朝会談に関心を示したのも、李在明(イ・ジェミョン)大統領が8月のワシントン首脳会談で正恩氏との会談を積極的に要請したことが発端とされる。さらに鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官も、米朝首脳会談の可能性を見込み、「会談場所は板門店の北側地域であり、李大統領は同席しないだろう」とまで語った。いかなる形でも対話の糸口をつかみたいという焦りの表れだろう。
しかし、もしそのような「電撃会談」が現実となれば、その後の対応こそ問題だ。非核化放棄を会談の条件に掲げた正恩氏は、会談を核保有国承認の第一歩として宣伝するだろう。韓国は韓半島で行われた米朝会談から排除されることで、以後の協議でも蚊帳の外に置かれかねない。何の準備も展望もないまま繰り返される即席ショーがもたらす余波を考えれば、国の外交政策をそんな危うい賭けに委ねることはできない。
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