人工知能(AI)関連株が牽引する米国株式市場の上昇に、警戒の声が相次いでいる。英イングランド銀行(BOE)や国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、最近のAI関連銘柄の急騰がかつての情報技術(IT)バブルを思わせると指摘した。AI旋風の中心に立つオープンAIの創業者サム・アルトマン氏自身も「現在のAIブームの相当部分はバブルだ」と認めている。
これを数字で見れば、現実味は増す。著名投資家ウォーレン・バフェット氏が「バリュエーションを示す最良の単一指標」と呼んだことで知られる「バフェット指数」は先月、200%を突破した。バフェット指数とは、国全体の株式市場の時価総額を国内総生産(GDP)で割った値だ。ITバブル期(約140%)を大きく上回る水準だ。
それでもAIは単なる期待感にとどまらず、私たちの生活に実質的な変化をもたらしている。SKグループ系列のある広報部門は最近、AI動画生成ツールを活用して社内広報映像を制作した。従来は数億ウォンを要したプロジェクトを月20万ウォンのサブスクリプションで代替し、登場人物から台本、アドリブまでAIが自動で作成し、制作費と時間を劇的に削減しながら高い完成度を実現した。
AIの浸透は産業分野にとどまらない。冷たく技術的な領域とみられていたAIは、いまや人々の趣味や感情の領域にも深く入り込んでいる。生涯を会計・財務の数字の世界で過ごしてきたある大学の50代経営学教授は、最近AI音楽生成ツールを通じて趣味で作曲を始め、長年の夢を現実に移した。頭の中で鳴っていたメロディーにAIの声を重ねた曲を友人に聴かせるのが、いまでは彼の静かな楽しみとなっている。30代会社員の男性は、恋愛の悩みをチャットGPTに打ち明けて慰めを得ているという。映画「her/世界でひとつの彼女」の孤独な主人公がAIとの対話で心を癒されたように、私たちはすでにAIと感情を分かち合い始めている。
AIバブル論は、遠からず弾ける目に見える危険なのか。それとも新しい時代の到来を告げる信号なのか。未来を見通すことはできなくとも、歴史から学ぶことはできる。ITバブル期にも多くの企業は消えたが、アマゾン、グーグル、マイクロソフトは生き残った。彼らは派手な技術や投資家の熱狂に頼らず、市場の現実的課題を正確に見据えた。ユーザーが日々アクセスし、繰り返し利用できる仕組みを構築し、その中でネットワーク効果が自律的に働いた。韓国でも、ITバブル期を乗り越えて現在まで生き残った多くの企業に、市場を読み、顧客の必要に応えるサービス提供に集中したという共通点がある。AI産業も同じだ。技術より重要なのは、日常の問題を解く力だ。そうした企業こそ「ネクスト・ビッグテック」へと成長するだろう。
ITバブルの勝者アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏は「AI産業は確かにバブルだが、技術そのものは本物だ」と強調した。バブルは消えても、技術は残る。過熱を警戒しつつも、技術の可能性を見失わないバランス感覚が必要だ。過度な楽観も過剰な悲観も警戒することが、AI時代を貫く生存戦略となるだろう。
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