
北朝鮮は10日、朝鮮労働党創建80周年を記念する軍事パレードで公開した新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)20」を「最強の核戦略兵器体系」と称した。昨年10月に初めて試射した「火星19」を「ICBMの最終完成版」と位置付けていたが、わずか1年でさらに進化した固体燃料ICBMの存在を誇示した形だ。固体燃料ICBMは燃料注入の時間が短く、韓米による発射前探知と原点攻撃を難しくする。北朝鮮がロシアに派兵した見返りとして技術支援を受け、ワシントンやニューヨークなど米本土の主要都市を同時に攻撃できる多弾頭ICBM能力を高度化しているとの見方もある。
●「火星19を凌駕する多弾頭ICBMの開発を加速」
火星20は軍事パレードの行進の最後に、移動式発射車両(TEL)の大型発射管に搭載された形で3基ほど登場した。発射管の長さと直径は火星19とほぼ同じで、TELも左右11軸(計22輪)で同じだった。
しかし発射管の構造には違いが見られた。火星19の発射管は左右に2本の油圧式支柱が立ち上がる方式だったのに対し、火星20ではその装置が見られず、ロシアのICBM用TELのように発射管下部に「中央起立装置」を備えた可能性が指摘されている。
弾頭部を覆う発射管のカバーは火星19よりも丸みを帯び、ほぼ円筒形に近い。韓国軍関係者は「火星19より弾頭部内部の空間を拡張したとみられる」と分析した。核弾頭1~3個を搭載するとされる火星19より多い3個以上の核弾頭を搭載した「複数個別誘導再突入体(MIRV)」ICBMに発展している可能性が高いという。
MIRVは一発のミサイルに複数の弾頭を搭載し、それぞれ独立した目標を攻撃できる。弾頭数が多いほど一度に多くの目標を攻撃でき、ダミー弾頭を混在させて敵の迎撃網を突破することも可能だ。ロシアや中国のICBMは10個以上の核弾頭を搭載する。
北朝鮮が先月1日に「火星19・20」として開発中だと発表した次世代ICBM用大出力固体推進体も、多弾頭ICBM高度化の「核心的証拠」とされる。韓国国家戦略研究院の張泳根(チャン・ヨングン)ミサイルセンター長は「昨年10月に過去最高高度と最長飛行時間を記録した『火星19』発射時に、この大出力推進体を使った可能性がある」と指摘。「ロシアの支援を受けて逆設計したか、一部改良した可能性もある」と分析した。
さらに、平壌で開催された武装装備展示会「国防発展2025」で展示された「火星11マ」も注目を集めた。これは、韓国に対する核攻撃手段とされる「北朝鮮版イスカンデル(KN23)」の弾頭部に極超音速滑空体(HGV)を搭載した短距離弾道ミサイル(SRBM)だ。極超音速弾頭を搭載し、マッハ5以上で低空飛行する場合、韓米の迎撃網では対応が難しいとの指摘もある。また、グアムを射程に収めた中距離極超音速ミサイル「火星16ナ」をはじめ、「ファサル」系列の戦略巡航ミサイル、「ピョルチ」系列の地対空ミサイルなども公開された。
● 新型戦車など最新の通常兵器も多数登場
軍事パレードでは最新の通常兵器も数多く登場した。新型戦車「天馬(チョンマ)20」は、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が5月に戦車工場を視察した際に初公開されたが、「天馬20型縦隊」として部隊配備された様子が確認されたのは今回が初めてだ。この新型戦車は、対戦車兵器の接近を自動感知し迎撃する「ハードキル」能動防衛システムを備えている。北朝鮮が2023年7月に戦車用能動防衛システムの迎撃試験を公開したことから、韓国より開発速度が速いとの見方もある。
また、6機の自爆型ドローンを発射管に搭載した車両も初めて公開された。ロシアのドローン「ランセット3」の発射台を収納式・コンテナ型に改造したものと推定される。完全密閉型の発射管構造は、イランの「シャヘド136」の発射トラックや中国のコンテナ式UAV発射台にも類似しており、関連技術を取得または独自改良した可能性が指摘されている。韓国軍関係者は「例年より登場した兵器の数は少ないが、新型兵器が多い」とし、「『国防発展5カ年計画』の最終年を迎え、核と通常戦力高度化の成果を最大限に誇示した」と指摘した。
尹相虎 ysh1005@donga.com






