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「ピーターパン」を作る規制をなくしてこそ「成長ハシゴ」を復元できる

「ピーターパン」を作る規制をなくしてこそ「成長ハシゴ」を復元できる

Posted September. 05, 2025 09:23,   

Updated September. 05, 2025 09:23


1日から、中小企業に分類される売上げ基準が、10年ぶりに最大1500億ウォンから1800億ウォンへと上方修正された。基準が緩和され、中堅企業に移った300社余りが再び中小企業に戻った。

中小企業界は、コロナ禍後、急激に物価が上がって原材料価格が高騰し、実質成長なしに売上げのみ伸びた外形成長が多かったとし、今回の措置を歓迎する雰囲気だ。一方、中堅企業界では、このような基準緩和が成長することを躊躇う「ピーターパン症候群」を引き起こす恐れがあると懸念している。韓国中堅企業連合会の関係者は、「現行の売上基準の上限線は、すでに英国や米国など主要国の2倍の水準だ」とし、「政策支援の大半が中小企業に集中しており、企業が中堅企業に上がる誘引がない」と話した。

ピーターパン症候群とは、心理学者であるダン・カイリー博士が1983年に著した本「ピーターパン症候群:なぜ彼らは大人になれないのか」から由来した用語だ。成年になったが、大人たちの社会に適応できず、依然として子供として残ることを願う心理をいう。規模が大きくなって中堅企業になったが、中小企業として残って引き続き支援を受けることを望む現象を、中小企業のピーターパン症候群という。

中小企業の基準は、租税減免や金融支援、規制緩和など政府政策の適用対象を分ける重要な物差しだ。韓国経済人協会によると、一つの企業が中小企業を卒業すれば、適用される規制が57から183へと3倍以上に増える。中小企業にのみ適用される融資や特別税額減免、公共機関入札優遇のような恩恵が中堅企業になる瞬間消える。

このような理由で、現場では中小企業の卒業を避けるために、分社や常時労働者の調整のような企業分割を行うことも多い。2023年基準で、中小企業から中堅企業に成長したところは301社、逆に中堅企業から中小企業に回帰したところは2倍水準の574社にもなる。

専門家たちは、今の企業生態系は、成長よりは保護に重点を置いているとし、中小→中堅→大企業へとつながる円滑な企業成長はしごを復元するためにも、中小企業に集中した支援政策から抜け出すべきだと強調する。

大韓商工会議所によると、2018年は1422件だった中小企業支援事業は、2023年は1646件へと増え、予算も21兆9000億ウォンから35兆ウォンへと60%も増えた。中小企業への支援は強化されているものの、スイス国際経営開発院(IMD)が発表する「国家競争力評価」によると、韓国の中小企業の競争力順位は、20年前の41位から昨年は61位へとむしろ下がる傾向にある。保護一辺倒の政策が、中小企業の競争力強化にあまり役立っていない。

韓国銀行は今年、韓国経済は前年比0.9%成長すると予想した。「0%台の成長率」の中で、いつにも増して経済成長の活力を取り戻さなければならない時期だ。危機感の中で、韓国経済人協会や大韓商工会議所、韓国中堅企業連合会は最近、「成長指向型企業生態系構築タスクフォース(TF)」を立ち上げた。経済界が、「企業成長生態系」という旗の下にTFを作ったのは、今回が初めてだ。成長することを恐れる環境の中では、革新も未来もない。政府と経済界が手を取り合って、断ち切れた成長はしごの復元に拍車をかけてほしい。