昨年2月、医学部2000人の増員に反発して集団辞職した専攻医の多くが、1日から復帰した。今年下半期の専攻医(インターン・レジデント)は1万3498人の募集で、首都圏の研修病院は定員の70~80%、地域の研修病院は50%程度を選抜したことが、暫定集計の結果分かった。すでに勤務している専攻医まで合わせると、約1万人の専攻医が研修病院に戻ってきている。1年7ヵ月ぶりに医政対立が収拾局面に入り、医療システムの麻痺も徐々に解消されるものと期待される。
医学部増員は、その必要性に対する世論の支持が相当だったにもかかわらず、根拠を明確に説明できなかった「2000人」の増員を推し進め、激しい抵抗を招いた。医学部生と専攻医のほとんどが、転院や病院を離れた。手術と診療が激減したため、患者たちは病院を転々とし、研修中断でただでさえ足りない医師養成に支障をきたした。今回、医学部生に続く専攻医の復帰で「トリプリング」医学部教育や専門医の輩出中断のような最悪の状況は避けることができた。しかし、医政対立の中で傷だらけになった韓国の医療システムは、根本的な治療が急がれる。
専攻医の復帰は嬉しいが、それによって首都圏と地域病院間の医師需給の不均衡はさらに悪化する現象が現れている。地域の病院に就職していた辞職専攻医らが首都圏に席を移す「ドミノ」転職が起きているためだ。手当てと住居支援で医師の定住を誘導する地域必須医師制のモデル事業は、全体募集人員(96人)の約60%のみ満たされている。個人病院に向かって離れた必須医療専攻医の復帰率も低調だ。特に、地域病院は、産婦人科や救急医学科などの必須科目は、最初から医師を見つけることができず、分娩室や救急室を閉鎖している。
医学部の増員は当初、「出産難民」「救急救命センターのたらいまわし」に代表される地域・必須医療の空白を解消するために推進された。前政権の医学部増員が白紙化されたとしても、地域・必須医療を強化しようとする医療改革のエンジンまで消えてはならない。適正医療人材を確保し、歪んだ補償体系を正して、地域-必須医療忌避現象を解決しなければならない。専攻医の研修環境を改善すると同時に、医療大乱の再発を防止する対策も必要だ。政府と医療界が崩れた信頼を再び築きながら、「医療改革」という難題を落ち着いて解決していくことを願う。
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