
世の無常をすべて抱きしめたかのような奚琴(ヘグム)の響き。緊張感を絞り出すコムンゴと、しなやかさの中に芯の力を秘めた伽耶琴(カヤグム)が続く。三つの国楽器が互いに呼吸を交わし、暗く幻想的な「ダークファンタジー」を織りなす。
パク・ソミン(32・奚琴)、チョ・ヨイン(31・伽耶琴)、キム・イェリム(30・コムンゴ)の3人が2020年に結成した女性トリオ「ヒルグム」は、ビジュアルからして強烈だ。最近世界的にヒットしたネットフリックス(Netflix)のアニメ映画「KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ」に登場する3人組ガールズグループ「ハントリックス(HUNTR/X)」を思わせる。21日午後、ソウル瑞草(ソチョョ)区にある練習室で3人に話を聞いた。
●「韓国の音を世界に響かせる」
ヒルグムは自らの音楽を「周囲の空気の流れを自分たちの煙で染め上げる湿った、スモーキーなサウンド」と定義する。濃いスモーキーメイク、華やかな衣装、鋭い眼差し――舞台上のオーラは「鉄の味がするガールズグループ」に匹敵する。
だが実際に会った3人は、ちょっとした冗談にも素朴に笑う普通の若者だった。「意図的に暗い音楽を作ろうとしたわけではない。3人の好みを集めていったら自然とこうなった」という。
3人は韓国芸術総合学校の同級生(2014年度入学)。修士課程の卒業公演を準備する中で親しくなり、チームを結成した。チーム名「ヒルグム」は「響く」の意の「ヒル」と、コムンゴの「琴」を合わせたものだ。
「世界に韓国の音を響かせたいという思いを込めました。大学院を出たばかりの若さゆえの気概でした」(パク・ソミン)
その後、独自の色を着実に築き上げてきた。2022年12月の初アルバム『ユートピア(Utopia)』は、内面の感情を幻想的に表現した。各曲は短編小説のように強烈な物語性を持つ。昨年12月には、内面の喪失を荒野に見立てた2作目『ウェイストランド(WASTELAND)』を発表。今回は長編小説のように曲同士のつながりが広がった。チョ・ヨインは「スモーキーで荒々しいけど、その中で精巧な呼吸を刻む緊張感こそ、ヒルグム独自のジャンル」と語る。
ヒルグムのアイデンティティを最も鮮明にするのは奚琴だ。伽耶琴やコムンゴは、しばしば共演するが、奚琴は特有の音色と奏法のためアンサンブルが難しい。パク・ソミンは「奚琴が二つの楽器と調和しつつ、独自のエネルギーを失わないよう悩み続けた」と話す。キム・イぇリムのコムンゴは柔らかくも芯のある響きを放ち、チョ・ヨインの伽耶琴は全体を支える安定感を添える。
●「強烈なビジュアルで好奇心を」
舞台上のビジュアルに力を入れるのには理由がある。国楽に不慣れな観客に、戸惑いよりも好奇心を抱かせ、広く訴えかけるためだ。2作目のアルバムジャケット撮影では写真家を招き、映画『パンズ・ラビリンス』など荒野を描く資料★を用意した。赤い砂漠と青い蝶が共存する超現実的なジャケットはその成果だった。
独創的なスタイルは公演現場でさらに輝く。韓国文化芸術委員会の「楽しい芸術の旅」プログラムで全国の文化的に恵まれない地域を回った経験は忘れがたい。
「アイドルのように衣装を揃えて登場したら、生徒たちが誰かも知らずにサインを求めて列を作ったんです。新鮮な経験でした」(チョ・ヨイン)
ヒルグムは29~31日、光州(クァンジュ)市の国立アジア文化殿堂(ACC)で開かれる「ACC Xミュージックフェスティバル(XMF)」に出演する。今年で10回目を迎える同フェスティバルは、実験的なサウンドと未来的な舞台を掲げるラインアップで知られる。今回は英ジャズボーカリストでヴァイオリニストのアリス・ザワツキ(Alice Zawadzki)と共演する。
「歌はもちろん、ヴァイオリンも打楽器も自在にこなせる方。異なるカラーのアーティストと組むことでどんなシナジーが生まれるか楽しみ」(キム・イェリム)
結成6年目を迎えるヒルグムは「実験的な国楽グループ」にとどまるつもりはない。今後は自らの世界を築き、さらに多くの人々に音楽を届けたい考えだ。
「国楽器で出せる実験的なサウンドを研究し、新しい音楽を作り続けたい。聴くだけでなく、見て感じ、体験できる公演を作っていきたい」(パク・ソミン)
サ・ジウォン記者 4g1@donga.com






