李在明(イ・ジェミョン)大統領がトランプ米大統領との初の首脳会談を控えている。政権初期に関税交渉の難関を乗り越えたものの、相手はトランプ氏だ。韓米関係が転換期を迎えている状況で、李氏とトランプ氏の初会談が持つリスクは大きい。
首脳会談は通常、失敗しにくい外交イベントだ。実務陣が事前に日程と議題を綿密に調整し、失敗のリスクを減らすことに全力を尽くす。しかし、トランプ氏との会談は一般的な首脳会談とは異なる。予測不可能な変数があまりにも多い。
米国の時事週刊誌「アトランティック」は最近、第2次トランプ政権発足後に首脳会談を行った6ヵ国の外交官にインタビューし、成功する会談のための彼らの助言を伝えた。トランプ氏との首脳会談を準備する他の国々への一種の手引きだ。
第一の成功の秘訣は、お世辞と華やかな技巧だ。トランプ氏を「パパ」に例えて話題となった北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長レベルのお世辞は基本だ。成功した会談の裏には、ゴルフ国家代表出身でトランプ氏とペアを組んでゴルフ大会で優勝したフィンランド大統領のような個人技、大規模な軍事パレードに招待したフランスのような華やかな儀典、イスラエル・イラン戦争の休戦でトランプ氏をノーベル平和賞候補に推薦したイスラエルのネタニヤフ首相のような外交・軍事的成果があったというのが彼らの結論だ。
第二は、予期せぬ状況への徹底した備えだ。第一が成功する会談のためのヒントなら、第二は失敗を防ぐための助言だ。米大統領執務室であるオーバルオフィスで行われる首脳会談は、トランプ氏と共にバンス副大統領、ヘグセス国防長官などMAGA陣営を代表する閣僚が同席する中、しばしば敏感な懸案をめぐって相手首脳を追及する公聴会のように展開される事例が多い。そこに取材記者として会談場に入る親トランプのソーシャルメディアのインフルエンサーが投げかける予期せぬ質問まで、会談場の至る所に地雷が潜んでいる。
トランプ氏は1期目の時も相手首脳を追い詰めることで有名だった。2017年6月、トランプ氏と初の首脳会談を行った文在寅(ムン・ジェイン)元大統領も同様だった。トランプ氏は文氏との記念撮影を終えるやいなや、ホワイトハウス3階にあるトリーティールームに別途案内し、非公開で10件以上の質問を浴びせたという。「在韓米軍が無償で韓国に駐留しているが、どう思うか」「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記についてどう思うか」「THAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)配備をなぜ予定通り進めないのか」など、当時の韓米関係の敏感な懸案をまるで面接のように細かく問い詰めたという。
李氏もトランプ氏の突発的な質問に対する徹底した準備が必要だ。最も厄介な質問は中国に関連するものである可能性が高い。李氏は大統領選期間中、米タイム誌とのインタビューで、中国の台湾侵攻時の参戦可否に関する質問に「宇宙人が地球を侵攻しようとする時にその答えを考えてみる」と答えた。二者択一の質問を絶えず投げかけるトランプ氏には、このような戦略的曖昧性は通じない可能性がある。トランプ政権はすでに「安米経中(安全保障は米国、経済は中国)は終わった」と宣言している。
韓米首脳会談の結果は、後続の関税実務交渉にも反映され得る。トランプ氏は関税交渉が不調に終わった一部の国々について「国家安全保障問題に関して米国と十分に一致しなかった」と述べた。韓国が中国について米国と異なる考えを持っていると結論づけられれば、同盟全般に直接的な悪影響を及ぼしかねない。韓米同盟を中心に周辺国との関係を改善する実用外交構想の第一歩を正しく踏み出せるかどうかは、今回の会談にかかっている。
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