
「私は人工知能(AI)をかなり頻繁に使う。同じ事案でも他の人ならどう考えるかをAIに尋ねたりする」
スウェーデンのクリステション首相(61)が3日、現地の経済紙ダーゲンス・インダストリとのインタビュー中にこのように発言したことで窮地に立たされている。政府の敏感な内部情報がAI企業に流出したのではないかという批判が高まっているのだ。また、AIがユーザーの嗜好や観点に合わせて情報や代案を提示することが多いため、クリステション氏が偏った観点で政策企画や分析をしたのではないかという懸念の声も出ている。
5日、英紙ガーディアンなどによると、クリステション氏の「AI依存発言」が物議を醸すと、スウェーデン首相室はクリステション氏がAIに国政助言を委ねるという発言に関連して「敏感な情報はアップロードしない。AIは参考用にすぎない」と火消しに乗り出した。
しかしスウェーデンでは、首相が国政運営に関する情報をAIにアップロードするのは適切ではないという指摘が続いている。特にクリステション氏が米オープンAIのチャットGPTとフランスのMistralのLe Chatを頻繁に使用すると明かしたことで、批判と懸念はさらに高まっている。国政運営情報が他国企業のサーバーに大量に保存されたのではないかという疑念のためだ。
スウェーデン・ウメオ大学のバージニア・ディグナム教授(コンピューター科学)は「単純なことまでAIに依存し過信するリスクが大きくなる」とし、「AIは自ら考えたり政治的判断を下したりすることができる存在ではなく、結局はそれを設計し訓練した人々の考えや偏向を反映する道具だ」と指摘した。そして「私たちはチャットGPTに投票したわけではない」と強調した。
クリステション氏は中道右派の穏健党代表として2022年10月に政権を握った。スウェーデンの名門ウプサラ大学で経済学を専攻し、若い頃には一時体操選手としても活動した。政治入り前にはコンサルティング会社で勤務した経歴もある。クリステション氏は首相就任後、移民規制や不法移民の犯罪取り締まりなどを強化している。普段からAI産業への関心も高いことで知られている。クリステション氏は欧州連合(EU)のAI規制が過度であるため、緩和が必要だという考えを何度も表明している。また「スウェーデンに基盤を置いたAI言語モデルが開発されるべきだ」とも発言している。
イム・ヒョンソク記者 lhs@donga.com






