Go to contents

幕を開けた韓米「造船同盟」、米軍艦MROを超えて商船も共に建造

幕を開けた韓米「造船同盟」、米軍艦MROを超えて商船も共に建造

Posted July. 24, 2025 09:21,   

Updated July. 24, 2025 09:21


韓国造船最大手のHD現代(ヒョンデ)が米国本土の現地企業と船舶共同建造のための具体的な協議に着手するなど、韓国の造船会社が米国との協力によって新たなビジネスチャンスを模索している。軍需支援艦の整備・修理・オーバーホール(MRO)を超えて、商船にまで韓米の協力範囲が拡大され、造船産業全体を網羅する戦略的パートナーシップが構築されつつあるという期待交じりの分析が出ている。

HD現代は23日、米国の船舶建造パートナーである「エジソン・シュエスト・オフショア(ECO)」の代表団が最近、韓国を訪れ、米国内でのコンテナ船共同建造に向けた詳細な協力案について協議したと明らかにした。ディノ・シュエスト代表をはじめ約10人のECO代表団は22日と23日、HD現代のグローバル研究開発(R&D)センター、HD現代重工業、HD現代尾浦(ミポ)造船所を訪れた。

これは両社が6月、2028年までに中型コンテナ船を共同建造することで合意した覚書(MOU)に基づく動きだ。HD現代はすでに技術者を派遣し、生産性コンサルティングを行うなど技術移転に着手している。

HD現代はこの技術協力を通じて、米国で建造され米国人が所有する船舶のみが沿岸航路を利用できるとする「ジョーンズ法」の制約を越え、米国の商船市場進出の突破口を開いたとの評価を受けている。HD現代の鄭基宣(チョン・ギソン)首席副会長は「HD現代は米国の造船業再建の努力を支持している」とし、「米国現地で行われる両社間の船舶共同建造作業は韓米間の造船協力の素晴らしい先例となるだろう」と強調した。

韓国造船大手ハンファオーシャンも、米フィラデルフィア造船所(ハンファ・フィリー造船所)を買収して商船市場進出の基盤を整えており、防衛産業分野の協力も拡大している。HD現代は米国最大の防衛造船会社であるハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)とイージス艦などの艦艇建造の効率向上に向けた技術協力を進めており、ハンファオーシャンも米海軍艦艇3隻に対するMRO事業を次々と受注して信頼を築いている。

米国が韓国に協力を求めた背景には、中国の海洋覇権の脅威やウクライナ戦争がある。世界の船舶市場を掌握する中国に対する警戒と、国防産業の重要性が再認識されたことで、自国造船業の再建が喫緊の国家課題となったのだ。しかし、高付加価値船舶の建造に必要な長年のノウハウや熟練技術者を短期間で確保するのは困難な状況であり、この分野で世界最高の技術力を持つ韓国が唯一の代案として浮上したのだ。

韓国の造船業界には新たなチャンスが開かれつつあるとの評価も出ている。韓国経済人協会によると、米国は造船業再建のために2037年までに商船・LNG(液化天然ガス)運搬船・軍艦など最大448隻の大型発注を計画している。大規模な商船受注はもとより、年間20兆ウォン規模とされる米海軍艦艇のMRO市場も韓国に開かれるとの観測が相次いでいる。

ただし、核心技術の流出懸念や、現地造船所の老朽化した設備、熟練工不足などは短期間では解決困難な課題とされる。韓国造船業界関係者は「国内最大の造船会社であるHD現代が本格的に米国内で商船共同建造に乗り出したことは、単なる技術移転を超え、中国に対抗する米国主導の核心産業の供給網に韓国が組み込まれることを示す信号弾だ」としながらも、「米国政府の政策の不確実性などは潜在的なリスクとなるだろう」と述べた。


金在亨 monami@donga.com