
トランプ米政府の海外援助の削減で、2030年までに世界中の脆弱階層1400万人が命を落とす危険があるという研究報告が先月30日、国際医学誌「ランセット」に発表された。「米国優先主義」「小さな政府」を唱えるトランプ大統領は、今年1月の2期目スタート直後から、米国の途上国支援を担う国際開発局(USAID)が過度に税金を使っているとして事業の大半を中止させた。
米国、スペイン、ブラジルなどの医師や病理学者などが参加した多国籍研究チームは、今回の研究で、第2期トランプ政権が推進する通り、USAIDの対外援助資金が83%削減されれば、5才未満の児童450万人を含め全世界で1400万人以上に命を落とす危険があると警告した。第1次世界大戦で死亡した兵士(約1000万人)を大きく上回る規模だ。研究チームは、途上国の脆弱階層には、米国の海外援助の削減が新型コロナや戦争に匹敵する衝撃になりかねないと懸念した。
1961年に設立された独立機関であるUSAIDは、2023年基準で世界130ヵ国あまりに対し438億ドル(約63兆5100億ウォン)を援助している。2000~2021年の20年間、USAIDの対外援助で世界中で9100万人以上の死亡を予防したと試算される。しかし、第2次トランプ政権の発足後、国務省傘下の組織に統合され、ほとんどの事業が中止された。国務省は、USAIDの後続組織の名称を「アメリカファースト(American First)」と命名した。
オバマ元大統領やブッシュ元大統領、有名歌手ボノらは最近、トランプ政権のUSAIDの解散の試みを強く批判した。AP通信によると、オバマ元大統領は最近の録画演説で、USAIDの解散は「とんでもない悲劇だ(tragedy)」とし、「共和党と民主党の指導者たちは、まもなくUSAIDがどれほど必要なのかを悟ることになるだろう」と懸念した。
ブッシュ氏も録画演説で、自身の政権担当中にUSAIDが主導したエイズ救済緊急計画(PEPFAR)が、全世界で2500万人の命を救ったと強調した。ブッシュ氏は、「2500万人の世界人が死んでいないということは、米国の国益にも合致する」と、トランプ氏を批判した。
キム・ユンジン記者 kyj@donga.com






