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韓国の創作EDM、世界へ快進撃…おとなしい日本の観客も大興奮

韓国の創作EDM、世界へ快進撃…おとなしい日本の観客も大興奮

Posted July. 02, 2025 09:11,   

Updated July. 02, 2025 09:11


「So baby pull me closer in the back seat of your Rover(だから君のローバーの後部座席で僕を抱き寄せて)」

6月29日午後、千葉県の幕張メッセ国際展示場。米国の世界的DJデュオ「ザ・チェインスモーカーズ」が、ビルボードで12週連続1位を記録したヒット曲「Closer」の冒頭の一節をアカペラで口ずさんだ。観客は一斉に次のフレーズを合唱した。「We ain’t ever getting older(僕らは何も変わっていない)」。

軽快なビートが響くと、観客は歓喜して跳びはねた。公演中の「静かな鑑賞」で知られる日本の観客も、この瞬間だけは腕を振り、携帯電話のフラッシュを灯して熱狂した。

●海外に進出した韓国発EDMフェスティバル

先月28、29日に開催された「World DJ Festival JAPAN」は、韓国を代表するEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)フェスティバル「World DJ Festival」(WDJF)が初めて海外進出を果たした舞台だった。ザ・チェインスモーカーズをはじめ、アラン・ウォーカー、カシミア、ニッキー・ロメロなど、韓国のWDJFに出演したことのある有名DJ40組以上がステージを飾った。

このフェスティバルには2日間で計5万2千人の観客が来場し、事前予約で全席が完売するほど現地でも大きな注目を集めた。観客の約70%が20代で、予約者全体の98%が日本居住者だった。日本特有の「オープンラン」文化を反映し、開場前から数百人が列をなす光景も見られた。

WDJFは2007年に韓国で始まった純粋な創作EDMフェスティバルブランドだ。韓国で企画されたEDMフェスティバルが海外に輸出されたのは今回が初めて。韓国の公演制作会社BEPCタンジェントが全体の演出を担当し、日本のインフルエンサーマーケティング企業「サムライ・パートナーズ」がBEPCからライセンスを購入して共同主催する方式で実現した。ブランドロゴやネーミングを使う一般的なライセンス契約を超え、舞台構成や演出哲学、アーティストの招聘など制作全般を共有し、ローカライズしたのが特徴だ。

BEPCの代表キム・ウンソン氏は「韓国の競争を生き抜いたフェスティバルがアジアや世界にも通用することが証明された」とし、「WDJFは大衆的な音楽を聴きながら、楽しく歌って写真を撮る瞬間を提供する」と語った。サムライ・パートナーズの入江巨之代表は「世界トップ100のフェスティバルはすべて行ったが、その中でWDJFのクオリティが最も高かった。世界一の『トゥモローランド・フェスティバル』を超える可能性もあると思う」と絶賛した。

●「Kカルチャーは日本で最もヒップな文化」

公演は日本の梅雨の時期を考慮して屋内会場で行われたこと以外は、韓国のフェスティバルと大きな違いはなかった。キム氏は「韓日関係の影響でフェスティバルに支障が出ないよう韓国的な要素を控えるべきか悩んだが、日本側がむしろ韓国らしさを求めた」とし、「現在の韓国文化が日本の若者世代にとってトレンディであるという証左だ」と語った。

2日間とも公演を観覧した観客の吉田けんいちさん(29)は、「インスタグラムで知ったが、出演者のラインナップと楽曲、運営方式のすべてに満足した」とし、「来年はオランダのDJハードウェルも来てほしい」と話した。

日本の伝統的な筆文字で書かれた「WDJF」ロゴの配置や、フェスティバル専用の香りを空間に散布するなど、感性的な現地化戦略も目を引いた。特殊効果は韓国ほど華やかではなかったが、屋内公演ならではのEDMの力強いサウンドも迫力があった。車椅子利用者向けのスロープ観覧席も設けられていた。

BEPCは現在、日本以外の5ヵ国ともWDJFの輸出を協議している。キム氏は「かつては海外のフェスティバルをベンチマークしたが、今は韓国の演出とシステムを輸出する段階だ」とし、「Kカルチャーの公演制作力と技術力を世界に示したい」と語った。


東京=サ・ジウォン記者 4g1@donga.com