李在明(イ・ジェミョン)大統領は10日、中国の習近平国家主席との初の電話会談で、「韓中両国が互恵平等の精神の下、経済・安全保障・文化・人的交流など多方面で活発な交流と協力を推進していくことを希望する」と述べた。習氏は、「互いの核心的利益と重要な関心事を尊重し、正しい軌道に沿って発展させるべきだ」と述べた。両首脳は、両国の国民が友好感情を高め、実感できる協力の成果を生み出すために共同の努力を続けることで合意した。
李氏と習氏の電話会談は、トランプ米大統領、石破茂首相に続く3回目の電話会談となった。△韓米同盟を基盤に△韓米日協力を強化し△韓中関係を安定的に管理するという新政権の「国益中心の実用外交」路線に沿った自然な電話会談の順だろう。
しかし、「謝謝(ありがとう)」発言など李氏の言動をめぐる物議と、それに伴う親中イメージは、李在明外交の第一歩に少なからぬ負担となったのも事実だ。
そのためか、習氏との電話会談では、「大韓民国外交の基盤である韓米同盟」「重要性がさらに増している韓日関係」といった外交的レトリックを用いず、淡々と交流・協力を求めた点がむしろ目を引く。親中イメージ払拭のためのトーン調整ではないかとの見方も出ている。李氏の当選直後、米ホワイトハウスから「中国の影響力に対する懸念」という唐突な反応があり、トランプ大統領との電話会談も遅れたことで、様々な懸念の声が上がったのはほんの数日前のことだ。
米中覇権競争の狭間で韓国が試される状況は、すでに長く続いている。韓国外交の中心軸は米国であるほかない。しかし、最大の貿易相手国である隣国・中国を無視することもできない。米国との同盟にしっかりと足を置きながらも、中国と敵対することは避けなければならない。米国は、安全保障分野は米国と、経済分野は中国とそれぞれ協力する「安米経中」すら容認しないという警告メッセージを発している。
以前の2つの政権は、それぞれ「均衡外交」と「価値外交」を掲げたが、綱渡りのような低姿勢外交、あるいは硬直した一方向直進外交という限界を露呈した。世界的な陣営対立の中でも、トランプ政権という異例の超大国が既存秩序を揺るがす現在の国際情勢は、韓国外交にとって危機だけでなく機会にもなり得る。二者択一を迫られる立場ではなく、橋渡し役を果たさなければならない。新たな国際秩序を共に築く中堅国外交のためには、何よりも堂々とし、柔軟であることが求められる。
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