
米国のブロードウェイで公演中の韓国ミュージカル「メイビー、ハッピーエンディング」の勢いが止まらない。最近、ニューヨーク・ドラマ批評家協会とドラマリーグ・アワードで作品賞を相次いで受賞したのに続き、来月8日(現地時間)に開かれるトニー賞授賞式で作品・演出・脚本・音楽賞など10部門にノミネートされた。演劇界の「パラサイト」になり得るとの声もある。受賞すれば韓国初演の創作ミュージカルとしては初の記録となる。
韓国ドラマや映画に続き、Kミュージカルが世界市場で異例の成果を上げている。短期公演や投資参加を超え、韓国のクリエイターやプロデューサーが現地の制作システムに本格的に参入している点で、大きな意味を持つ。
●「普遍的な叙情性」を持つKミュージカル

「メイビー、ハッピーエンディング」は、ミュージカル作家のパク・チョンヒュ氏と米国人作曲家のウィル・アーロンソン氏が共同で創作した作品だ。2014年、ウラン文化財団の開発プログラムを通じて企画され、16年にソウル大学路(テハクロ)の300席規模の小劇場で初演された。21世紀後半のソウルを舞台に、人間に捨てられたヘルパーロボットたちの愛と旅路を描く。斬新な設定と繊細な情緒で、韓国国内でも高い評価を受けた。
海外進出は、16年にニューヨークで開かれたショーケースを機に本格化した。米国の著名プロデューサー、ジェフリー・リチャーズ氏に見出され、ブロードウェイ契約が成立した。昨年11月、ベラスコ劇場でオープンラン(閉幕日が決まっていない常時公演)として開幕した。最近、2週間連続でチケット売上が100万ドルを突破し、興行面でも安定した成果を上げている。
ウラン文化財団のプロデューサーとしてこの作品の開発に携わったライブラリーカンパニー本部長のキム・ユチョル氏は、「最初からブロードウェイを狙っていたわけではないが、創作者2人ともニューヨークを拠点としていたため、英語での制作も並行して進めた」と話した。また、「ショーミュージカルとは異なる普遍的な感情と叙情性がブロードウェイの観客に新鮮に映ったようだ」と語った。慶熙(キョンヒ)大学文化芸術経営学科のチ・ヘウォン教授は、コロナ禍以降、ブロードウェイミュージカルの規模が縮小し、小規模な劇がより注目されるようになった」と指摘した。
●米英に進出した『グレート・ギャツビー』

米ブロードウェイに初めて進出した韓国ミュージカルは、1997年にニューヨークのリンカーンセンターで上演された『明成(ミョンソン)皇后』だ。その後、安重根(アン・ジュングン)義士の生涯の最後の1年を描いたミュージカル『英雄』が2011年にブロードウェイで公演された。しかし、1回限りの公演で、観客の大半は在米韓国人だったという限界があった。しかし、最近のKミュージカルは雰囲気が全く異なる。
オディカンパニーのシン・チュンス代表は、昨年4月にアジア人として初めて単独リードプロデューサーとしてブロードウェイでミュージカル『グレート・ギャツビー』を正式に開幕させた。先月には英ウェストエンドでの公演も実現させた。シン氏は、「現在、米国ではオープンラン公演を続けており、好評を得ている。英国でも9月以降、劇場を移して公演を継続する予定だ」とし、「現地では韓国のミュージカル制作者がプロデュースしたことに驚いている雰囲気だ」と語った。
韓国初の創作ミュージカル『マリー・キュリー』も昨年、ロンドンのチャリング・クロス・シアターで英語版の長期公演を行い、正式にウェストエンドへ進出した。制作会社ライブのカン・ビョンウォン代表は、「韓国公演を単に翻訳するだけでなく、本格的に現地の産業構造に組み込まれ、商業的成果を上げた」と強調した。
このような傾向について、順天郷(スンチョンヒャン)大学公演映像学科の元鐘源(ウォン・ジョンウォン)教授は、「K-POPやドラマ、映画を通じて蓄積された韓国文化への信頼が、ミュージカルという複合芸術ジャンルへと拡張されている」と分析した。公演評論家のパク・ピョンソン氏は、「英米圏を攻略するには、現地市場を正確に理解する努力が必要だ」と指摘し、「大学路の中小劇場ミュージカルの場合、マニア中心のファンダムを超えた普遍的な作品が多く生まれる必要がある」と述べた。
サ・ジウォン記者 4g1@donga.com