
「のびた陰を鋪道にならべ、夕闇の中を君と步いてる」
1日午後、ソウル城北区(ソンブクク)の高麗(コリョ)大学ファジョン体育館で開かれた中島美嘉(42)の来韓コンサートで、彼女の代表曲「雪の華」が鳴り響いた。歌手パク・ヒョシンのリメイクバージョンが韓国のドラマ「ごめん、愛してる」のBGM(OST)に挿入され、韓国国内でも大きな人気を集めた。
聞き慣れたメロディと叙情的な中島の声に、観客たちは目元がしっとりと濡れた。1番のサビで中島が客席にマイクを渡すと、日本語の「合唱」が鳴り響いた。「今年最初の雪の華を二人寄り添って ながめているこの瞬間に幸せが溢れ出す」
10日と11日の2日間開かれた中島の初来韓コンサートに観客7500人余りが集まり、話題を集めた。2001年にデビューした中島は、最近のJポップブームの前から韓国で人気を得ていた「元祖Jポップディーバ」だ。本来10日の一日の公演予定だったが、チケットが発売から約1時間で売り切れ、さらに一日延長した。「歌いたい曲が多すぎて悩んだ」というデビュー25年目の歌手は、2時間半の間に20曲を熱唱した。
落ち着いた黒のドレスと華麗な房のついた黒の帽子の姿で登場した中島は、最初の曲として2021年に発表したバラード「知りたいこと、知りたくないこと)」を選んだ。訴える力の強い声で、「過去も未来も要らない、恋人と一緒にいたい」という内容の歌を歌った。続いて、「一番綺麗な私を」、「花束」等、特技であるバラードを披露した中島は、自分がかつてパンクロッカー役を演じた映画「ナナ」(2005年)のOST「GLAMOROUS SKY」を歌いながら、「ギャップ萌え」をプレゼントした。
「僕が死のうと思ったのは」は、約10年間耳管開放症(耳管が開きっぱなしになる病気)を患ってから回復した中島の屈曲した事情を思い起こさせた。憂鬱さに閉じ込められたような序盤を過ぎて、「明日を変えるには今日を変えなければならない」と希望を歌う姿は感動的だった。昨年発売した「アンフェア(Unfair)」は、洗練されたピアノ演奏と速い拍子が調和し、彼女が過去だけに留まっていないということを示した。
舞台構成も印象的だった。ダンサーたちが現代舞踊などでパフォーマンスを補完した。ただ「ウィル(Will)」「オリオン(Orion)」など韓国で認知度のある歌をすべて歌わずに「メドレー」の一部として短く聞かせたことは残念だった。
中島はコンサートの最後に、「今日は、皆さんが来たいと言わなかったら(公演の)なかった日です」として結局涙を流した。ファンたちは、再び彼女に韓国で会える日を期待して熱い歓声で応えた。
サ・ジウォン記者 4g1@donga.com