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「三振を喫しても楽しく運動」、クラブチームが変えた高校野球

「三振を喫しても楽しく運動」、クラブチームが変えた高校野球

Posted May. 10, 2025 09:46,   

Updated May. 10, 2025 09:46


5月は、韓国高校野球の最高権威である黄金獅子旗の全国高校野球大会が開かれる季節だ。第79回目を迎えた今年も、ソウル木洞(モットン)や新月(シンウォル)野球場では、頂上を目指す期待株たちの夢が実っている。

ところが、数年前から高校野球の舞台に、天安(チョンアン)CSBCやTNPBAといった見慣れない名前が登場し始めた。一見したところでは正体が分からない。CSBCとは商業高校ベースボールクラブ、TNPBAはトレーニング&フィジカルベースボールアカデミーを略語だ。栗谷(ユルゴク)高校野球団や昌原(チャンウォン)工業高校野球団のように、学校名に「野球団」を付けたチームもある。ファンに馴染みのある野球名門の慶南(キョンナム)高校、光州第一(クァンジュジェイル)高校、徳寿(トクス)高校などとはどんな違いがあるだろうか。

彼らの正体は、スポーツクラブだ。学校法人が運営する学校の運動部と違って、別途法人が選手の募集や指導、行政、会計などの業務を担当する。クラブチームに属している選手が、同じ学校の生徒かどうかによって学校連携型クラブ、地域拠点型クラブに分かれる。栗谷高校野球団の場合、栗谷高校の生徒たちで構成されたスポーツクラブという意味だ。従来の学校の運動部と区別するために「野球団」をつけた。特に、栗谷高校は2023年、学校の運動部からスポーツクラブに転換し、チーム名も栗谷高校から栗谷高校野球団に変えた。

全体的にクラブチームの戦力は、学校の運動部に及ばない。プロ野球の新人指名や大学進学にも、まだ不利なのが現実だ。しかし、クラブチームの扉を叩く選手たちは着実に増えている。クラブチームが大韓野球ソフトボール協会(KBSA)主催の公式試合に出場し始めた2021年の5チームから今年は24チームにまで増えた。学校の運動部で多くの機会が与えられなかったり、他の選手より遅れて運動を始めた生徒たちがクラブチームに集まっている。成績優先主義に、強圧的な運動部の文化が嫌で去ったという生徒も少なくない。

高校に進学する際に運動部からクラブチームに移ったという高校2年生の選手は、「運動部ではミスをするとすぐに交代された。しかし、ここでは三振を喫しても自信を失わず、楽しく運動することができる。野球の中に人生があるのではなく、人生の中に野球があるということを学んだ」と話した。「母校出身」にこだわる文化のため、監督やコーチの座をあきらめ、クラブチームで新しい機会を得た指導者もいる。

スポーツクラブが高校野球に起こした意味ある変化も多い。クラブチームが着実に増え、昨年初めて高校野球チームが100を超えた。今年登録されたチームは計105チームで、2020年(82チーム)に比べて約28%増えた。クラブチーム出身でプロ入りを果たした選手もいる。昨年のプロ野球新人ドラフトでは、昌原工業高校野球団出身のキム・ジョンウン(19)が全体70位で、ヤロゴBC出身のコ・ヨンウン(21)が100位でLGのユニホームを着た。

今年の黄金獅子旗にも、過去最多となる11のクラブチームが出場したが、このうち4チームが1回戦を通過した。勝敗とは関係なく、彼らは「(全国大会が開かれる)木洞球場のグラウンドを踏むことができて胸が詰まる」と口をそろえる。昨年は、クラブチーム所属で黄金獅子旗史上初の女子選手が誕生した。華城東灘(ファソントンタン)BCのソン・ガウン(19)が桃開(トゲ)高校との1回戦の3回裏、1塁手に途中出場して新しい歴史を作った。チームが5回でコールドゲームで敗れ、たったの1打席で大会を終えたソン・ガウンの帽子には、「楽しもう」という文字が刻まれていた。高校野球はこのように変化している。