廃業寸前、ほこりの積もったゲームセンターの片隅。虚勢だけが残った往年のチャンピオン「ギャレット」(ジェイソン・モモア)。ある日突然、目の前に変な通路がぱっと開き、彼を丸ごと飲み込んでしまう。気がつけば、木も山も雲まで四角い世界。まず、この変な世界にに到着した「スティーブ」(ジャック・ブラック)と会ったギャレットは、奇想天外な世界で突拍子もなく荒唐無稽な大冒険を始める。
映画「マインクラフト/ザ・ムービー」は、このように「予想可能な」多少当たり前で単純な物語が柱となっている。原作「マインクラフト」は、2009年の発売当時からストーリーのない自由なプレイで親しまれていたゲームだ。映画もしっかりした叙事よりは、途中で爆笑を誘う演出に重点を置いた。映画的に粗末さが多いため、米映画評点サイトのロートントマトで、批評家の鮮度指数は48点。亡作につける「酷評」に近い点数だ。
しかし、観客の反応は違った。制作費1億5000万ドル(約2025億ウォン)がかかったこの映画は、これまで世界で8億7530万ドルの収益を上げた。映画でブラックが歌った34秒の歌「スティーブのラバチキン(Steve’s Lava Chicken)」は、ビルボード「ホット100」チャートで78位につけている。ビルボードの67年間の歴史上、「最も短い歌」という記録も立てた。韓国は、予定日より4日繰り上げて先月26日に封切りしたが、6日まで109万人が観覧した。
このように最近、ゲームが原作の映画が成功を収める事例がますます増えている。過去に弱点として挙げられた「緩い叙事」が、むしろ映画興行に役立っている。話が貧弱なほど型に嵌らず、自由に想像力を広げたという好評を得る「ゲーム映画の成功法則」が新しく作られていると言える。
ゲーム「マインクラフト」は、決まったあらすじなしにブロックを積んで自分だけの世界を作っていくのが特徴。このような隙間が、映画製作陣にも新しい世界を構築できるキャンバスになった。特に「ミーム(meme)」の拡張が、映画成功の最も大きな要因だ。鶏の上に乗った赤ちゃんゾンビキャラクター「チキンジョッキー」になり、10代の観客は熱狂した。ポップコーンと飲み物を撒く観覧認証の映像がソーシャルメディアを埋め尽くした。米国ではついに、一部の観客が生きている鶏を持って劇場に現れ、爆竹を爆発させる騒ぎも起きた。米ニューヨークタイムズ(NYT)は、「チキンジョッキーを前面に押し出した狂ったキャッチフレーズが、マルチプレックス映画館を占領している」とコメントした。
このような「単純、無知、勝手に」の傾向は、他のゲーム映画にも表れている。映画「スーパーマリオブラザーズ」(2023年)も、マリオとルイージが拉致されたピーチ姫を助けに行くという決まりきった話。見慣れたキャラクターと明るい世界観を前面に出し、13億6100万ドルを稼いだ。「名探偵ピカチュウ」(2019年・4億5006万ドル)や「スーパーソニック」シリーズ(3編合算10億ドル)も、やはり複雑なストーリーを捨てたのがむしろ薬になった。
今後登場する「ゼルダの伝説」とゲーム原作映画も、このような成功法則に積極的に従うものと見られる。ユーチューブやティックトックなど短い映像に慣れている世代の好みに合わせて、早く没頭できる要素を強調する方式だ。映画評論家のイ・ジヘ氏は、「ゲーム原作映画の主な観客層である若い世代は、ビデオゲームを視聴するように映画を消費する」とし、「完成度よりミームや流行に基づいて、10代が共感する文化要素として脚色された作品が成功している」と評価した。

イ・ホジェ記者 hoho@donga.com