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三星が9年ぶりに大型M&A、「ブランドオーディオ」を買収

三星が9年ぶりに大型M&A、「ブランドオーディオ」を買収

Posted May. 08, 2025 08:46,   

Updated May. 08, 2025 08:46


三星(サムスン)電子は、プレミアムオーディオブランド「バウワースアンドウィルキンス(B&W)」で有名な米マッシモのオーディオ事業部を3億5000万ドル(約5000億ウォン)で買収する。三星電子が踏み切った買収合併(M&A)としては、2016年にオーディオ専門会社のハーマン(9兆2000億ウォン)の買収以来、最大規模となる。財界では、9年ぶりに大型M&Aを再開した三星電子が、今後本格的にM&Aに乗り出すかどうかに注目が集まっている。

●9年ぶりの大型M&Aに乗り出した三星電子

三星電子は7日、子会社のハーマンを通じてマッシモとオーディオ事業部の買収契約を交わしたと発表した。マッシモオーディオ事業部は、B&Wと共にデノン、マランツ、フォルク、デフィニティブテクノロジーを主要ブランドとして抱えている。B&Wは、1966年に英国で設立されたプレミアムオーディオブランドで、代表製品の「ノーチラス」スピーカーは1台の価格が1億5000万ウォンに達する。

三星電子は今回の買収で、ハーマンのオーディオ事業の競争力が強化されるだろうと明らかにした。一般消費者からマニア層、車両用まで様々な領域で世界的な「オーディオ名家」の地位を固めるという計画だ。ハーマンはJBL、ハーマンカードン、AKGなど既存のプレミアムブランドを前面に出し、昨年基準でポータブル(携帯用)オーディオ市場で60%のシェアを占めている。ヘッドホンや無線イヤホンなどでもシェアを高めている。ハーマンライフスタイル事業部門のデイブ・ロジャース社長は、「75年間の歴史のオーディオ専門企業であるハーマンが、もう一つの高級オーディオブランドB&Wを確保した」とし、「名実共に、オーディオ名家の立地を固めるだろう」と話した。

三星電子は、マッシモオーディオ事業部の買収が、スマートフォンやテレビ、家電など三星電子の主要製品群にもシナジー効果を出すものと期待している。三星電子はこれまで、ハーマンの音響技術とノウハウを融合させ、これらの製品の音響品質を上げたことがある。

●M&Aのシグナルになるかに注目

財界では、今回のマッシモオーディオ事業部の買収が、三星電子が今後本格的にM&Aに乗り出す「シグナル」になるか注目している。今回の買収は、三星電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長が2月、「三星の不当な合併および会計不正」疑惑の2審で、無罪判決が出された後に出てきた三星電子の初めての大型M&Aの事例だ。

三星電子は、半導体やモバイル、家電など主要事業が過去のように高い成長勢を示すことができず、新しい成長エンジンの発掘が急がれている状況だ。直近のビッグディールは、約9年前のハーマンの買収であり、以後兆単位のM&Aはなかった。2021年は業績発表会で、「3年以内に意味のあるM&Aを推進する」と公式化したが、明確な成果を出せなかった。

このような危機意識を受け、三星電子は最近、臨時組織だった新事業タスクフォース(TF)を常設組織の新事業チームに格上げした。三星電子のパク・スンチョル最高財務責任者(CFO)も先月30日、第1四半期(1~3月)の業績発表のカンファレンスコールで、「株主価値の向上と未来成長のためのM&Aを継続的に検討している」と述べた。その結果、可視化されたのが、今回のマッシモオーディオ事業部買収という解釈が出ている。

一方、三星電子が注目しているM&Aの分野としては、人工知能(AI)や自動車電装(電気電子装置)、ロボットなどが取り上げられている。三星電子は昨年5月、産婦人科の超音波診断技術を持つフランスAIスタートアップのソニオ、7月に個人型AIサービスを提供する英スタートアップのオックスフォード・セマンティック・テクノロジーズを相次いで買収したことがある。


パク・ヒョンイク記者 beepark@donga.com