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毎日数百回、ボッチャのボールではなく夢を投げる

毎日数百回、ボッチャのボールではなく夢を投げる

Posted April. 23, 2025 08:08,   

Updated April. 23, 2025 08:08


車椅子の上で息子が投げた青いボールが白いジャックボール(標的球)に向かって転がる。隣でしゃがんで見守っていた母親は、すぐに体をかがめてボールを拾ってくる。1日に数百回も繰り返されるこの動きで、母親の膝と足首は壊れたが、母子は今日も止まらない。パラリンピック競技「ボッチャ」代表のソ・ミンギュさん(20)と母親のキム・ウンヒさん(44)はこのように毎日練習場で一緒に汗を流す。

ボッチャは重度障害者のために考案されたスポーツで、カーリングと似ていることから「地上のカーリング」と呼ばれる。韓国は歴代パラリンピックのボッチャで金メダル11個を獲得した世界最強国だ。韓国にとって「パラリンピックのアーチェリー」とも言えるボッチャで、ソさんは2023年に最年少代表選手に選ばれた。今月初めに開かれた全羅南道(チョルラナムド)知事杯全国ボッチャ選手権でも1位になった。

7ヵ月で早産したソさんは、1歳になる頃、脳室周囲白質軟化症(脳病変障害の一種)の診断を受けた。一人で歩けず、車椅子に乗ることになった。「息子を歩かせる」の一念で病院とリハビリ治療室を駆け回ったキムさんは、特殊教師の勧めでボッチャに接してからソさんの才能を発見した。

キムさんは補助コーチとして毎日練習場に立つ。数百回もボールを拾ってきたが、昨年は左膝の軟骨が断裂して手術を受けなければならなかった。一人で3人兄弟を育てる厳しい生活の中で手術費がなくて痛みを我慢したが、福祉館とイーランド福祉財団の支援で手術することができた。

夢があるから頑張れる。2028年ロサンゼルス・パラリンピックでメダルを首にかける夢だ。キムさんは「スポーツがなかったらおそらく治療室と家を行き来するだけの人生だっただろう」とし「『障害があるのに、どうしてあれをするのだろう?』という視線ではなく『障害者もこうやって挑戦するんだ』と開かれた心で見てほしい」と話した。母子は今日も夢を投げに行く。


キム・ソヨン記者 ksy@donga.com