子どもの集中力を奪う「ショートフォーム」、政府は無防備状態
Posted April. 14, 2025 08:31,
Updated April. 14, 2025 08:31
子どもの集中力を奪う「ショートフォーム」、政府は無防備状態.
April. 14, 2025 08:31.
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3年前、町中の図書館で「お父さんと絵本を読む」という講座を受講したことがある。子どもに本を読み聞かせるのが苦手な父親のための講座だった。「絵本を読み聞かせるのに特別なノウハウなど必要だろうか」という気持ちで最初はあまり期待しなかった。受講してから、それが勘違いだったことに気づいた。「絵本は、絵を読むこと。子供が絵と交感し、想像する時間を十分に与えなければならない」。参加したパパたちは、講師の言葉に皆ドキッとする様子だった。振り返ってみると、これまでの読書は、本に書かれている活字をただ読むハングル教育に過ぎなかった。子供が絵本と十分に会話する時間を待つよりは、一週間に数冊ずつ目標量を満たすことだけに追われていた。殺到する質問が面倒で、生返事をするのが常だった。あの日以来、絵本の読み方を変えた。急いでページをめくることなく待ってあげると、子供は主人公の表情や空の色、風船の数までゆっくり見ながら好奇心を育むようになった。知っている単語が出てくると、幼稚園で習った曲の歌詞を思い出して突然歌を口ずさむ。本一冊を通じて、子供の世界がどれほど拡張できるかを見守る驚くべき経験だった。相変わらず寝る前に必ず読み聞かせをせがまれる二人の息子だが、最近は強力なライバルができた。速いスピード感と華やかな映像、音楽で子供たちの視線を引きつける「ショートフォーム」コンテンツだ。好きな曲を聞きたいと言って携帯電話を持って行った小学1年生の長男は、父がしばらく他のことをしている間に20~30秒のショートフォームコンテンツにはまって指を動かしていた。外国の子供たちがおもちゃで遊んだり、スパイダーマンの服装をしていたずらをする内容などが繰り返されるが、子供は画面に吸い込まれるように集中していた。なぜこれを見るのかと聞くと「ただ面白いから」という答えが返ってきた。最近、子供のショートフォームへの露出を心配する親が増えている。韓国言論財団が2023年、3~9才の子供の両親を対象に行ったメディア実態調査で、回答者の51.1%は「子供がショートフォームコンテンツを見る」と答えた。女性家族部の2024年の小中高校生向けメディア実態調査では、「この1年間に最も多く利用したメディア」に回答者の94.2%が「ショートフォーム」を挙げた。友人と会話する時に使うインターネット・モバイルメッセンジャー(92.6%)より使用率が高かった。ショートフォームは中毒性が強い。短くて強烈な刺激に繰り返し露出されると、子供の脳はますます大きな刺激を求める。ドーパミンの奴隷になって長い時間集中したり、衝動の調節が難しくなったりもする。2023年、科学技術情報通信部の調査によると、幼児と児童の31.7%がショートフォームを視聴する際、自己調整が難しいと答えた。昨年、英オックスフォード大学の出版部が、オンラインコンテンツを過度に消費する現象を称する「脳腐れ(Brain rot)」を今年の単語に選んだのも、これと無縁ではない。海外では、児童のショートフォーム中毒とスマートフォン依存を防ごうとする取り組みが進められている。昨年5月、フランス政府は13歳未満の子供のスマートフォン使用禁止を検討すると明らかにした。英国は2023年、子供を有害コンテンツから保護する内容を盛り込んだ「オンライン安全法」が可決され、施行を控えている。韓国は事実上無防備状態だ。政府は、高リスク群の発見と保護者教育を急がなければならない。プラットフォーム企業の自主的浄化努力も必要だ。
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3年前、町中の図書館で「お父さんと絵本を読む」という講座を受講したことがある。子どもに本を読み聞かせるのが苦手な父親のための講座だった。「絵本を読み聞かせるのに特別なノウハウなど必要だろうか」という気持ちで最初はあまり期待しなかった。
受講してから、それが勘違いだったことに気づいた。「絵本は、絵を読むこと。子供が絵と交感し、想像する時間を十分に与えなければならない」。参加したパパたちは、講師の言葉に皆ドキッとする様子だった。振り返ってみると、これまでの読書は、本に書かれている活字をただ読むハングル教育に過ぎなかった。子供が絵本と十分に会話する時間を待つよりは、一週間に数冊ずつ目標量を満たすことだけに追われていた。殺到する質問が面倒で、生返事をするのが常だった。
あの日以来、絵本の読み方を変えた。急いでページをめくることなく待ってあげると、子供は主人公の表情や空の色、風船の数までゆっくり見ながら好奇心を育むようになった。知っている単語が出てくると、幼稚園で習った曲の歌詞を思い出して突然歌を口ずさむ。本一冊を通じて、子供の世界がどれほど拡張できるかを見守る驚くべき経験だった。
相変わらず寝る前に必ず読み聞かせをせがまれる二人の息子だが、最近は強力なライバルができた。速いスピード感と華やかな映像、音楽で子供たちの視線を引きつける「ショートフォーム」コンテンツだ。好きな曲を聞きたいと言って携帯電話を持って行った小学1年生の長男は、父がしばらく他のことをしている間に20~30秒のショートフォームコンテンツにはまって指を動かしていた。外国の子供たちがおもちゃで遊んだり、スパイダーマンの服装をしていたずらをする内容などが繰り返されるが、子供は画面に吸い込まれるように集中していた。なぜこれを見るのかと聞くと「ただ面白いから」という答えが返ってきた。
最近、子供のショートフォームへの露出を心配する親が増えている。韓国言論財団が2023年、3~9才の子供の両親を対象に行ったメディア実態調査で、回答者の51.1%は「子供がショートフォームコンテンツを見る」と答えた。女性家族部の2024年の小中高校生向けメディア実態調査では、「この1年間に最も多く利用したメディア」に回答者の94.2%が「ショートフォーム」を挙げた。友人と会話する時に使うインターネット・モバイルメッセンジャー(92.6%)より使用率が高かった。
ショートフォームは中毒性が強い。短くて強烈な刺激に繰り返し露出されると、子供の脳はますます大きな刺激を求める。ドーパミンの奴隷になって長い時間集中したり、衝動の調節が難しくなったりもする。2023年、科学技術情報通信部の調査によると、幼児と児童の31.7%がショートフォームを視聴する際、自己調整が難しいと答えた。昨年、英オックスフォード大学の出版部が、オンラインコンテンツを過度に消費する現象を称する「脳腐れ(Brain rot)」を今年の単語に選んだのも、これと無縁ではない。
海外では、児童のショートフォーム中毒とスマートフォン依存を防ごうとする取り組みが進められている。昨年5月、フランス政府は13歳未満の子供のスマートフォン使用禁止を検討すると明らかにした。英国は2023年、子供を有害コンテンツから保護する内容を盛り込んだ「オンライン安全法」が可決され、施行を控えている。韓国は事実上無防備状態だ。政府は、高リスク群の発見と保護者教育を急がなければならない。プラットフォーム企業の自主的浄化努力も必要だ。
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