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SNSマーケティングで盛り上げた「勝負」「消防官」、新配給会社ミステリー

SNSマーケティングで盛り上げた「勝負」「消防官」、新配給会社ミステリー

Posted April. 14, 2025 08:32,   

Updated April. 14, 2025 08:32

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囲碁棋士の曺薫鉉(チョ・フンヒョン)、李昌鎬(イ・チャンホ)師弟を描いた映画「勝負」が12日現在、観客数169万人を突破し、採算ライン(180万人)を目前にしている。俳優の劉亜仁(ユ・アイン)の麻薬投薬事件で2年以上公開が延期されていた映画だが、先月26日の公開以来、口コミで話題を呼び、興行収入1位を守っている。

映画の配給を担当したのは、2022年に映画事業に進出した新生配給会社「バイフォーエム・スタジオ」だ。「勝負」だけでなく、昨年末に公開された「消防官」など、パンデミックで公開が遅れたり、俳優リスクなどで配給先を見つけられずさまよっていた「お蔵入り映画」を買い取り、相次いで成果を上げた。映画業界では「バイフォーエム・ミステリー」という言葉が生まれている。

●瀕死状態の劇場街でリスクの高い作品で成果

最近のバイフォーエムの動きは、「期待作が枯渇した」と言われるほど苦戦している韓国映画界で異例と評価されている。今年のフランス・カンヌ国際映画祭のコンペティション部門進出作は3年連続でゼロだ。宋慧教(ソン・ヘギョ)主演の期待作「黒い修道女たち」も167万人の観客にとどまり、採算ライン(160万人)を辛うじて超えた。

このような状況で、バイフォーエムが昨年12月に公開した「消防官」は採算ラインを超え、385万人の観客を集めた。20年に撮影を終えたが、パンデミックで公開が延期され、22年に主演俳優、郭度沅(クァク・ドウォン)の飲酒運転で配給会社を探していた映画だ。21年に撮影を終えた「勝負」も翌年、俳優の劉亜仁の麻薬投薬事件が起こり、公開が保留され、ネットフリックス、エースメーカー・ムービーワークスなどを転々としたが、現在採算ラインを目前にしている。バイフォーエムが今年1月に配給した権相佑(クォン・サンウ)主演の映画「ヒットマン2」も完成度が高くないという評価の中でも採算ラインを超えた。

●最初から「そこそこヒット」を狙うSNSマーケティングなどが奏功

映画界では、バイフォーエムの成功要因として効果的なマーケティング戦略を挙げている。当初から大ヒットよりも観客動員数200万~500万人の「そこそこヒット」を目指し、SNSを積極的に活用した戦略が奏功したということだ。彼らは全体マーケティング予算の約40%を公開後に投入し、観客の反応に応じてSNS広報コンテンツの方向性を調整した。

例えば、映画「勝負」では、李炳憲(イ・ビョンホン、チョ・フンヒョン役)の妻である俳優の李珉廷(イ・ミンジョン)がユーチューブのショートコンテンツに出演し、「口コミ」拡散に助力した。名場面と名台詞をまとめた短いクリップは、インスタグラムとTikTokに拡散され、広報の役割を担った。

俳優関連のスキャンダルが浮き彫りにならないようにすることにも力を入れた。「勝負」のポスターなどは劉亜仁なしで李炳憲を前面に出し、ワントップマーケティングを展開した。映画「消防官」の広報では、郭度沅を削除し、観客が映画を観るたびに一定金額を消防官に寄付する「119チャレンジ」を前面に押し出した。

バイフォーエム映画・ドラマ事業のハン・サンイル理事は、「悪材料はあるが、マーケティング戦略によっては成功する映画だと見た」とし、「このように適正な収益を期待できる作品群が多様化してこそ、産業全体が回復に向かうことができる」と語った。

一部では、バイラルマーケティングが過剰だという指摘も出ている。ある映画制作会社の代表は、「過度なマーケティングは、良い映画が死に、悪い映画が生き残る構造を作り出しかねない」と指摘した。一方、チョン・ジウク映画評論家は「『勝負』と『消防官』はいずれも一定水準以上の完成度を見せていたため、観客の選択を受けることができた」とし、「バイフォーエムが今後どのような作品を披露するかが試金石になるだろう」と語った。


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com