
「豆のてんとう虫、That’s my piercing(ザッツ・マイ・ピアシング)」
先月デビューした5人組ガールズグループの「キキ」(メンバー=ジユ、イソル、スイ・ハウム、キヤ)のデビューアルバム「アンカットジェム(UNCUT GEM)」のタイトル曲「I DO ME(アイ・ドゥ・ミー)」の歌詞だ。他人の視線に振り回されず、自分だけの道を歩くというメッセージの歌の中で、突拍子もなく溌剌とした歌詞が目立つ。特にメンバーのイソルの顔に実際のテントウムシを乗せて撮影したプロモーションビデオのシーンが、「新鮮だ」「かわいい」という反応を得ている。
●「Z世代」の自然さを追求
最近「新人大激突」という言葉が出るほど、主要芸能事務所所属のアイドルグループのデビューが相次ぐ中、キキの勢いが特に猛烈だ。キキは、スターシップエンターテインメントが、「アイブ」(2021年12月デビュー)以降、3年3ヶ月ぶりに披露したアイドルだ。「アイ・ドゥ・ミー」は、8日、メロンの「トップ100」音源チャートで15位で、今年デビューしたアイドルグループの中で唯一20位圏に安着し、5日、地上波音楽番組では初めてのトップとなった。プロモーションビデオは、ユーチューブで約1100万回も視聴された。
キキは、アイブを作ったスターシップのソ・ヒョンジュ副社長が企画し、アイブヒット曲の大半を作った作曲家のライアン・ジョンがタイトル曲を含むアルバム収録曲の制作に参加した。しかし、アイブとは雰囲気が違う。アイブは、お姫様風の衣装などで自己愛を表現したとすれば、キキが取り出したキーワードは新造語「ゼンジー美(GENZ美)」だ。1990年代半ば~2010年の間に生まれた「ゼンジー世代(Z世代)」と「美しさ」の合成語であるこの言葉のように、キキは自由奔放さを強調する。「走るよ、勝手に」「関係ないでしょう、私は私になります」等の歌詞をはじめ、音楽とスタイリングで飾らない「生の魅力」があらわれる。
プロモーションビデオも、華やかな都市背景の代わりに、多少粗悪に見えるニュージーランドの大自然を盛り込んでいる。山や野原で踊り、わらに座って歌ったり、子牛に牛乳をあげたりするキキのメンバーたちの姿に、「オーガニックアイドル」というニックネームも付けられた。先月24日、デビューショーケースでキキは、「私たちは定型化されていない魅力を追求する」と話した。
●Kポップならではの劇的なメロディーを強調
メロディーも、エネルギーに溢れているという評価が出ている。大衆音楽評論家のパク・ヒア氏は、「最近、大衆が好む『イージーリスニング』系列の歌だが、新鮮なメロディーに予想を破る歌詞を持ち出した」と評価した。大衆音楽評論家のイム・ヒユン氏は、「(同じ時期にデビューしたSMエンターテインメントの新人)ハーツ・トゥ・ハーツの歌は耳に入る句節である『フック(Hook)』をほとんど強調しなかったとすれば、キキの歌は韓国ダンス曲が持っている劇的でメロディカルな部分が強調された側面がある」と話した。
ファンたちは、「清純、夢幻、ガールクラッシュ、セクシーでない、典型的でないコンセプトなので良い」「自由奔放に見えるスタイリングが面白い」などの反応を見せている。大衆音楽評論家のキム・ヨンデ氏は、「きちんと整っていることよりは、自由奔放なことを追求するゼンジーたちの感性を攻略したのが功を奏したようだ」と評した。
PRの方法もユニークだった。メンバーの顔を公開する前に、インスタグラムにケーキや帽子、エッセイなど多様なアーティストとコラボした作業物から掲載した。詩人のコ・ソンギョン氏は、コラボのエッセイで、「キキ、どこかシャキシャキした発音」等の一節でキキについて機知に富んだ表現をした。芸能界の関係者は、「デビュー前から、視覚的刺激に慣れた大衆の好奇心を呼び起こすのに成功した」と話した。
サ・ジウォン記者 4g1@donga.com