旧ソ連の反体制作家であり、ノーベル文学賞受賞者であるアレクサンドル・ソルジェニーツィン(1918~2008)の回顧によると、彼の父親は学生時代にトルストイを尊敬していた。ある日、苦労してトルストイに会った父親は、この大文豪に尋ねた。「対立をなくすにはどうすればよいのですか」。「愛しなさい」。「相手が私を憎み、傷つけようとしてもですか」。トルストイの答えは一貫していた。「愛しなさい」。
ソルジェニーツィンは、トルストイの純真な愛を情けなく思ったが、トルストイの絶対的な博愛主義は、植民地時代の朝鮮で青年たちの心を捉えた。しかし、日本がこれに感動して反省するはずもなかった。失望した青年たちは極端な行動に走った。独立運動家の金山(キム・サン)は『アリラン』の中で、義烈団員の多くがかつてトルストイ主義者だったと伝えた。
個人が愛し合い、和やかな関係を維持するには、相手の立場を理解し、気の毒な事情を配慮する態度を持たなければならない。相手の欠点までも愛するなら、称賛される恋人になるだろう。
ところが、互いに戦争中の国家なら、ある国家が相手の状態と弱点を知り、十分に理解したなら、そして彼が強い側なら、和解や愛の代わりに攻撃を選択するだろう。国家間の平和は力の均衡によって維持される。欧州の国々がウクライナに平和維持軍を派遣するという動きを見せている。しかし、西欧の国々が十分な軍備と抑止力を持っていたなら、そもそもロシアがウクライナ戦争を開始することもなかっただろう。
昨年の米大統領選挙の過程で「(当選すれば)24時間以内にロシア・ウクライナ戦争を終わらせる」というトランプ大統領の約束に反し、両者間の合意を引き出すのは容易ではないようだ。和解どころか、互いに強硬なカードを切り、一方が屈服することを望んでいる。他国の戦争を心配している場合ではない。韓国社会も相互理解はおろか、力と怒りの川を渡る直前だ。誰もが心配しているのに、権力に酔った人々だけが知らない。
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