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憂鬱と不幸にあえぐ韓国、心理療法を公的に扱わなければ

憂鬱と不幸にあえぐ韓国、心理療法を公的に扱わなければ

Posted March. 22, 2025 09:07,   

Updated March. 22, 2025 09:07


同じ悲劇が繰り返されている理由は何か。

今年に入ってからだけでも、大衆に愛された有名人が相次いで自ら命を絶った。各地で「極端な選択」をした一家のニュースが数週間おきに伝えられる。痛ましいニュースに触れるたびに思い浮かべていたこの質問を、今こそ変えるべき時だと感じる。「韓国社会が同じ悲劇を放置し続ける理由はいったい何か」。

毎年この時期になると、韓国人の幸福度を示す成績表がいくつか発表される。統計庁は先月、報告書「国民生活の質2024」を発表した。2023年の韓国人の生活満足度は6.4点で、前年より0.1点下がった。一方、人口10万人当たりの自殺率は27.3人と、9年ぶりに最も高い数値を記録した。経済協力開発機構(OECD)の平均自殺率は下がっているのに、韓国だけが上昇している。20年以上続く困惑する傾向だ。

今月には、世界幸福度報告書(WHR)が発表する各国の幸福度ランキングも公開された。25年の国別幸福度ランキングで韓国は147ヵ国中58位で、昨年より6ランク下がった。やはりOECD基準で見ると最下位レベルだ。

このように生活満足度の低下と異常な自殺率が続いているにもかかわらず、精神健康に対する韓国社会の対処は依然としてあまりにも安易だ。専門家の間では、「公衆衛生の非常事態」という診断が出ているのに、対策が見当たらない。

先進国はこの問題に敏感に対応している。先月国内で出版された『心理療法はなぜ経済的に正しいのか』によると、英国は公的医療制度である「心理療法アクセス改善」(IAPT)をすでに2008年から導入して施行している。うつ病、不安障害のような精神問題を抱える人々に、国が認知行動療法(CBT)に基づいた無料の心理療法やカウンセリングサービスを提供する制度だ。

国が直接心理療法に乗り出したのは、心の病を放置したために後になって支払わなければならない社会的代償が、初期の治療費とは比較にならないほど大きいと考えたからだ。施行から5年で40万人が恩恵を受け、半数以上の健康状態が改善された。所得、学業成績、雇用率まで上がった。18年には、うつや孤独感などを国家的な次元で扱うとして、世界で初めて「孤独担当省(Ministry of Loneliness)」が新設された。

個人的な問題として片付けていた心理問題を、国が公的領域で積極的に扱う必要性があるという提言は、韓国社会が特に注目すべき点だ。韓国は昨年になってようやく英国式モデルを参考に「全国民の心の投資支援事業」を始めたが、ようやく一歩を踏み出した程度だ。

孤独担当省を導入した英国の自殺率(21年基準)は人口10万人当たり8.4人で、OECD平均(10.6)より低い。担当省庁を新設してでも心理問題の公的・国家的な介入が急務な国があるとすれば、「自殺率1位」の汚名を返上できない韓国ほど急を要する国はない。今からでも先進国の事例を参考に、悲劇の悪循環を断ち切るための適切な対策を講じなければならない。